蓄電池で最大60万円もらえる国のDR補助金◇専門家監修|申請条件は?期限はいつまで?【2025年/令和7年】
<<本記事のデータは2025年8月15日に更新しました。>>

2025年の国のDR補助金は異例の早さで予算上限に達し締め切られました。昨年から補助金を待っていた層が準備万端の状態で、今年の補助金の申請開始を待っていたためです。補助金でお得に蓄電池を導入するには2026年に向けて今のうちからしっかり準備することが大切です。
DR補助金はここ数年で一番問い合わせが多い蓄電池の補助金です。
最大60万円という大きな補助金額に加えて、国が出しているため全国どこにお住まいでも申請できるという点が魅力です。
しかし、DR補助金は全国でも決まった業者でしか申請できないため注意が必要です。
しっかりとDR補助金を受け取るために、
・DR補助金の概要
・DR補助金を受けるための条件
・DR補助金額の算出方法
・DR補助金の受付期間
などについて詳しく解説していきます。
2025年度(令和7年)のDR補助金は予算上限に達したため打ち切られました。現状、国の予算に令和8年度(2026年)の蓄電池補助金についての記載はありません。補助金を予約したり確約するような広告には注意しましょう。(2025年8月時点)
【2025年度】DR補助金の傾向
国の蓄電池補助金の金額推移(DR補助金・DER補助金・VPP補助金)
毎年国は「地域の電力需給を調整する」という目的で、蓄電池に対してDR補助金、DER補助金、VPP補助金などの補助金を用意してきました。
名称が異なっていたり、同じ年度に2つの補助金があったり、名称と年度がズレていたりとややこしいですが、直近数年分をまとめると以下のようになります。
実施年度 | 補助金額 | 上限額 | 予算 | 予算上限までの期間 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
平成31年(2019年) | 2~4万円/kWh | 設備費の1/3or60万円 いずれか低い方 |
38.5億円 (蓄電池以外の予算も含む) |
2か月 | 平成31年度「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」 |
令和2年(2020年) | 2~3万円/kWh | 60万円 | 50億円 (蓄電池以外の予算も含む) |
上限未達 | 令和2年度 バーチャルパワープラント構築実証事業 |
令和3年(2021年) | 4万円/kWh | 設備費の1/3 | 45.2億円 (蓄電池以外の予算も含む) |
4か月 | 令和3年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業(DER) |
令和4年(2022年) | 3.7万円/kWh | 設備費の1/3 | 34.138億円 (家庭用蓄電池枠は3億円) |
上限未達 | 令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業(DER) |
令和5年(2023年) | 3.2~3.7万円/kWh | 設備費の1/3or60万円 いずれか低い方 |
40億円 (家庭用蓄電池枠は20億円) |
上限未達 | 令和4年度補正 電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR) |
2.7~3.2万円/kWh | 設備費の1/3or60万円 いずれか低い方 |
29億円 (蓄電池以外の予算も含む) |
上限未達 | 令和5年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業(DER) | |
令和6年(2024年) | 3.7~4.7万円/kWh | 設備費の1/3or60万円 いずれか低い方 |
90億円 (家庭用蓄電池枠は75億円) |
上限未達 | 令和5年度補正 家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR) |
令和7年(2025年) | 3.7~4.5万円/kWh | 設備費の1/3or60万円 いずれか低い方 |
66.8億円 | 3か月 | 令和6年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業(DR) |
※上記の表は家庭用かつ自己所有の場合
これらの補助金事業は、SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)が経産省から請負い執行しています。
DR補助金の予算消化について
2024年から2025年にかけてDR補助金の予算消化が早くなっています。
令和6年度(2024年)は家庭用蓄電池補助金の予算は潤沢に用意されているため、予算上限に達することはありませんでした。
しかし、実態としては2024年は業界全体で駆け込みが始まる年末にかけて需要が急増し、予算が余っているにもかかわらず、工事できる業者がいない(=設置後の報告が間に合わない)という事態になっていました。
つまり、予算の大きさに対して業界全体が駆け込みに対応するキャパシティが足りていなかったということです。
そのため、2025年の予算は8.2億円減額となりました。
2024年の予算消化率を考えると妥当だと判断されたのかもしれませんが、2024年の時に申請に間に合わなかった方が2025年のDR補助金が開始されたタイミングで、準備万端で押し寄せたことで2025年のDR補助金は3か月で上限に達してしまいました。
現状、来期にDR補助金を実施するという発表はありません。
しかし、2025年のDR補助金を逃してしまった方は来期に向けて準備を整える方もいると思われますので、早め早めに業者比較や見積比較を済ませて設置内容が決まった状態にしておくことが重要になると考えられます。
【東京都の家に設置する方】
東京都にお住まいの方は来期のDR補助金を待たない方がいい可能性があります。都が用意している蓄電池補助金は国よりも高額受け取れますが、2024年(15万円/kWh)から2025年(12万円/kWh)にかけて減額されています。仮に現在のおおまかな平均容量とされている10kWhの蓄電池を設置した場合、総額30万円の減額です。DR補助金の平均支給金額も約30万円なので、東京都の方は来期を待たないほうがいい可能性を考えておきましょう。
【2025年度】家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR補助金)概要

DR補助金とは、再生可能エネルギーの導入促進と電力需給ひっ迫時にも活用できる電源を確保すること目的として、蓄電池導入促進のために国が用意した補助金事業です。
合計66.8億円の予算が用意されており、昨年の全国平均の容量・価格から逆算すると、予算が消化されるまで約16,700件程度だと想定されます。
潤沢な予算が用意されているように思いますが、蓄電池は年間出荷台数が15万台を超える市場規模にまで成長しているので、既に見積もりをとって補助金に備えている方がいることを考えるとあまり余裕はありません。
DR補助金はいくらもらえる?
DR補助金の計算方法|上限は60万円
DR補助金の金額は、下記の計算を(1)~(3)の順で進めることで算出することができます。
(1)
基本:蓄電池の初期実効容量(kWh)×3.7万円
(2)
蓄電池が①から④いずれかの条件を満たしていたらその分補助金額を上乗せ
①”ラベル”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.1万円
②”類燃性”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.5万円
③”レジリエンス”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.1万円
④”廃棄物処理法上の広域認定の取得”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.1万円
(3)「上記(1)(2)の合計」「かかった費用の1/3」「上限60万円」のいずれか低い額
こちらの初期実効容量3.7万円/kWh~4.5万円/kWh((1)+(2))の金額に対し、(3)が補助金額として適用されます。
参考として、上限60万円もらうためには「初期実効容量が13.3kWh~16.2kWh」かつ「かかった費用が180万円以上」の蓄電池が補助金を最大額確保することができますが、もちろん適正金額で必要十分な容量の商品を購入することをおすすめします。
読み飛ばしOK!「ラベル」「燃焼性」「レジリエンス」「廃棄物処理法上の広域認定の取得」とは?
DR補助金はいくらもらえる?
補助金額を上乗せするための「ラベル」「燃焼性」「レジリエンス」「廃棄物処理法上の広域認定の取得」という言葉を聞いてもわかりづらいと思うので補足します。
要領に記載されている内容を要約すると以下のようになります。
ラベル:JIS C 4414の規格に準拠し、ラベル表示があること
燃焼性:JIS C 8715-2、IEC62619の類焼試験に適合していることの第三者機関による証明書等を取得していること
レジリエンス:故障時に早期復旧と原因究明ができる拠点があり、かつ部品交換がすぐできる拠点があること
廃棄物処理場の広域認定の取得:蓄電池システムの製造・販売業者が廃棄物処理法上の広域認定を取得していること
この説明でもわかりづらいと思いますが、つまり「高い性能で、火災等のリスクが少なく、不測の事態にも備えられて、捨てるときに困らない蓄電池は、良い商品として評価します。」ということです。
どの蓄電池がどの要素を満たしているかというのは、対象製品検索に随時公開されることになっています。
次は人気の蓄電池の場合、具体的にいくら受け取れるのかを計算してみましょう!
【例】人気商品で計算
DR補助金はいくらもらえる?
今回は一番人気の長州産業12.7kWhを使って、ソーラーパートナーズの相場価格を参考に計算してみます。
長州産業12.7kWh(217万円税込)の場合
【前提条件】
・初期実効容量は10.9kWh※1
・(2)の条件を満たすことで上乗せされる分は0.7万円/kWh※1
・「かかった費用」は最終提案価格のうち146万円と仮に設定※2
※1:商品ごとの初期実効容量および上乗せ金額はDR補助金公式サイトの対象製品検索で確認可能
※2:蓄電池システムに必要最低限の機器「パッケージ」+設置環境によって変わる「オプション」+工事費+税によって構成されている見積書のうちパッケージと工事費のみを参照
まず、(1)は初期実効容量10.9kWh×3.7万円=40.33万円となります。
次に(2)の①~④の条件によって0.7万円/kWhが加算されるので(1)に7.63万円が上乗せされます。
最後に(3)「(1)(2)の合計47.96万円」「かかった費用の1/3で48.7万円」「上限60万円」のうち一番低い額が適用されるので、最終的な補助金額は47.96万円となります。
ここまでややこしい計算をしてきましたが、基本的に蓄電池業者が全て計算した状態で見積もりを用意してくれるため心配する必要はありません。
ただし、メーカーが異なったり、同じ商品でも価格が異なると補助金額も異なるため、DR補助金公式でも推奨されているように複数業者で比較検討することをおすすめします。
DR補助金で必ず選ぶ申請パターン|アグリ型と小売型
DR補助金を申請する際、必ず申請パターンを選ばなくてはいけません。
国がDR補助金で蓄電池の普及を促進する目的は「電力需給ひっ迫時にも活用できる電源を確保」するためです。
2つの申請パターン【アグリ型】か【小売型】かを選ぶことでどのような方法で「電力需給ひっ迫時にも活用できる電源を確保」に貢献するか申請するというわけです。
どちらを選んでも補助金額が大きく変わるということもなく一長一短ですが、「決まった電力会社で契約しなくてはいけない」「HEMSを必須でつけなければいけない」など条件が異なるため、確認しておきましょう。
蓄電池アグリゲーター型
DR補助金で必ず選ぶ申請パターン
アグリ型は、地域の電気の需要供給バランスが崩れた時に、アグリゲーターという役割の事業者が各家庭の蓄電池を遠隔操作することで、需給のバランスを保つという申請パターンです。
電気の需要が多い時には蓄電池から放電し、供給が多い時には蓄電池に電気をためるという操作が行われます。
具体的には、
1,需給ひっ迫注意報発令時
2,需給ひっ迫警報発令時
3,国からの節電要請
の3つのタイミングです。
遠隔操作が行われるので、HEMS(家の電気を管理するシステム)を導入することが必須です。
小売電気事業者型
DR補助金で必ず選ぶ申請パターン
小売型は、DRに参加している電力会社と契約することで、電力の需要供給バランスが崩れた時には、電力会社が各家庭の蓄電池の電気を使ってバランスを保つメニューです。
決まった電力会社と契約しなくてはいけないため、一定期間電力会社を選択する自由が利かないという点で不便ではあります。
しかし、HEMSが必須ではなく、電力会社によって割引などもあるため、メリットも多いのが特徴です。
DR補助金はいつまで?
DR補助金の申請期限は2025年12月5日(金)
こちらの補助金は、特性上、3つの締め切りがあります。
①補助金申し込みの期限が2025年12月5日まで
②契約、工事、報告、補助金の支給までの完了が2026年1月14日まで
③補助金予算の上限到達
昨年は予算が増額されたことで余裕をもって検討する方が増えたのですが、締切が近くなるにつれて工事会社のスケジュールが埋まってしまい、結果的に予算にも申し込み期限までにも余裕があるのに②完了報告が間に合わないため泣く泣く補助金を受けられない方が多くいました。
今年は、昨年と比べて予算が少なく設定されていること、そして昨年間に合わなかった方が既に準備を全て済ませていることを考えると、早め早めに検討することをおすすめします。
DR補助金を受け取るためには?
補助金を受け取るための5つの条件

こちらは購入する側で押さえておいた方が良い大切なポイントがいくつがあるのでご注意ください。
国が認めた事業者から購入すること
この補助金を受けるためには、蓄電池の販売施工業者がDR補助金の対象事業者として事前に登録している必要があります。そのため、どの業者から購入してもこの補助金が受けられるわけではないのでご注意ください。
国が性能を認めた蓄電池システムであること
国から補助金事業を委託されたSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)において、令和4年度以降に登録・発表されている蓄電池システムが補助の対象となります。
対象となる蓄電池システムはコチラで公開しております。
DRに対応可能な設備であること
DRに対応しているかどうかというのは、蓄電池を活用して地域の節電に貢献し、電力需給がひっ迫した緊急事態には自宅に設置した蓄電池を遠隔で操作することができるかというものです。
※HEMS等を設置してのDR対応も可とする
蓄電システムの本体価格と工事費の合計が目標価格以下であること
今回DR補助金で定められている目標価格(設備費+工事費・据付費、税抜)は、13.5万円/kWh(蓄電容量)です。
目標価格を超えた高い金額で購入してしまうと補助金が受けられないという点と、見積書に入っている項目の中でも蓄電池の設置に関わるものしか設備費・工事費・据付費に加算されないという点は押さえておいてください。
補助金支給交付前に契約をしていないこと
交付決定前に契約をしてしまうと補助の対象外になります。
一般的に、この順序を間違える業者はほとんどいませんが、例えば訪問販売などで来た見も知らない業者が、補助金を受けられると言って契約を迫ってきたら注意が必要です。
DR補助金はややこしいので専門家に相談!
ここまでDR補助金について解説してきました。
最大60万円と魅力的な補助金ではありますが「決まった業者でないと申請できない」「目標価格」「補助金額の計算」など様々な要因によって、大変ややこしいのが特徴です。
さらには、申請ができる業者でも全ての会社が信頼できる業者とも限りません。
自宅にとって良い業者を見つけるためには、DR補助金の公募要領で案内されている通り、複数業者からの見積比較がおすすめです。
ソーラーパートナーズでは、全国を対象に審査をクリアした蓄電池の専門業者を紹介しています。
厳選した業者でお見積もりを見比べてみたい方は、記事内のお見積もりフォームからご相談ください。