【2023年は異例の3種類】国の令和5年蓄電池補助金を徹底解説

2023年はなんと国から3つの蓄電池補助金がでています。
過去にこのような事例はなかったので設置検討者だけでなく多くの事業者も混乱すると予想されます。
2023年に国から出る蓄電池の補助金は、「こどもエコすまい支援事業」「電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業」「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業」の3種類です。現在出ている情報だと、どの補助金も国が設定した予算から考えると短期間で受付が終了してしまう可能性が高いです。
また、こちらの3つの補助金は併用不可能です。
後悔せずに蓄電池を設置し、ご自身が受けられる補助金をしっかり把握するためには、下記の3点を押さえておいてください。
- 各種補助金額の違いを理解する
- 補助金の予算を把握する
- 各補助金を申請可能な業者から購入する
本記事では、蓄電池を検討している方に向けて、「2023年度(令和5年)に国から出る補助金」の最新情報について解説したいと思います。
家族が増えたり、在宅ワークなどの影響で電気代高騰に苦しんでいる方には、太陽光発電と蓄電池の導入は特におすすめです。
補助金を活用して賢く太陽光発電と蓄電池を導入できれば自家消費スタイルで電気代を0円に近づけ、しっかりとメリットを出していくことが可能ですよ。
※本記事で紹介する補助金の順番は、補助額が大きい順ではありません。情報公開が早い順に紹介しています。
1,こどもエコすまい支援事業概要
こどもエコすまい支援事業とは、エネルギー価格の高騰を受けやすい若者夫婦や子育て世代が省エネ住宅の取得を支援するために国が用意した補助金事業です。
補助の対象は、省エネ住宅の購入から断熱工事や蓄電池の設置などのリフォーム工事と多岐に渡ります。
若者夫婦や子育て世代が対象の補助金ですが、リフォームの合計補助額30万円までは、若者夫婦や子育て世代という条件に関係なく誰でも利用することができます。
補助金の予算は増額された結果、約1700億円と十分な額ですが、リフォーム工事は1件あたり数万円の補助額であるのに対して、省エネ住宅の購入には戸建てあたり100万円という大きな補助額が用意されています。
そのため、予算切れとなる前に急いで申し込みすることをお勧めします。
1-1,こどもエコすまい支援事業の補助金額は6.4万円!
蓄電池の台数にかかわらず、1戸あたり64,000円が補助額になります。
しかし、同時に他の省エネリフォームをした場合は、リフォーム工事の種類に応じた補助額が加算されます。
例えば、蓄電池に加えてエコキュートを同時に導入した場合は、エコキュートの補助額27,000円が加算され、合計91,000円の補助を受けることができます。
太陽光発電の工事は補助金の対象外なのでご注意ください。
1-2,こどもエコすまい支援事業の申請期限は遅くとも2023年12月末まで
ここでは3つの申請期限を押さえておいてください。
(1)工事請負契約日の期間
契約日の期間の条件は無し。
着工までに締結された工事請負契約書が対象になります。
(2)着工日の期間
2022年11月8日~交付申請まで(遅くとも2023年12月31日)
(3)交付申請の期間
2023年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日)
こどもエコすまい補助金の公式HPでも早めの申請をお勧めしていますので、焦る必要はありませんが、工事内容が決まれば早めに交付申請の予約だけしてしまいましょう。
1-3,こどもエコすまい支援事業の補助金を受け取るための条件
蓄電池に限って言えば、下記の3点のみ注意すれば問題ありません。
国が認めた事業者から購入すること
この補助金を受けるためには、蓄電池の販売施工業者がこどもエコすまい補助金の対象事業者として事前に登録している必要があります。
そのため、どの業者から購入してもこの補助金が受けられるわけではないのでご注意ください。
国が性能を認めた蓄電池システムであること
設置工事後に補助金の申請を出すこと
こどもエコすまい支援事業は、国の補助金にしては珍しく工事後に補助金申請を出すという流れになっています。
ただ、申請の予約だけは工事前にすることができるので、先にしておくことをお勧めします。
国から補助金事業を委託されたSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)において、令和4年度以降に登録・発表されている蓄電池システムが補助の対象となります。
さらに細かく説明すると、蓄電池の出荷証明書または保証の写し、工事前後の写真なども必要になりますが、基本的には販売施工業者がこの補助金をきちんと理解していれば、やってくれますので心配ありません。
2,電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(以下、DR補助金)概要
DR補助金とは、再生可能エネルギーの導入促進と電力需給ひっ迫時にも活用できる電源を確保すること目的として、蓄電池導入促進のために国が用意した補助金事業です。
こちらは完全に蓄電池を対象にした補助金で、家庭用の蓄電システムと業務用の蓄電システムに対してそれぞれ20億円、計40億円の予算が用意されています。
家庭用蓄電池だけで20億円の予算があるので、余裕がありそうに思えます。
しかし、過去の蓄電池の設置データから1件あたり平均30万円ぐらいの補助金を受けると想定すると、大体6700件しか受け付けることができないので、1か月から2か月で予算が尽きてしまうことも十分考えられます。
補助金額が大きい分、こちらは検討を急いででも補助金申請を間に合わせたいところです。
2-1,DR補助金の金額は上限60万円!
DR補助金の金額は、下記により決定します。
(1)蓄電池の初期実効容量(kWh)
(2)自費設置か第三者所有モデルか
(3)設置したい機器のメーカー側が下記①及び②を満たしているか
①早期復旧や原因解明が可能な体制、異常が見つかった場合に備えて代替する電池システムの主要部品を迅速に供給できる拠点
②廃棄物処理法上の広域認定の取得
これら(1)~(3)の条件を加味すると、補助金額は4パターンになります。
■ 自費設置で上記(3)を満たしている場合:3.7万円/kWh
■ 自費設置で上記(3)を満たしていない場合:3.2万円/kWh
■ 第三者所有モデルで上記(3)を満たしている場合:5.2万円/kWh
■ 第三者所有モデルで上記(3)を満たしていない場合:4.7万円/kWh
こちらの4パターンで算出した金額で、上限を60万円として補助金額が適用されます。
ここで特に注意していただきたいのが、第三者所有モデルの方がお得に見えますが、そもそも自分で購入するわけではないので、自分が補助金を受けられるわけではないという点です。
大きな補助金が出ますので、基本的に自費設置での検討をお勧めします。
また、補足ですが、2023年4月14日現在、補助対象として登録されている機器には(3)を満たしている商品がないので、実質2パターンとなっています。
2-2,DR補助金の申請期限は遅くとも2023年12月22日まで
DR補助金は既に申し込みが始まっていますが、こちらの補助金の存在を認知している業者が少なく申請可能な業者もまだ少ないので、実質まだ始まったばかりです。
こちらの補助金は、特性上、3つの締め切りがあります。
1,補助金申し込みの期限が2023年12月22日 12:00必着
2,補助金申請、契約、工事、報告、補助金の支給までの完了が2024年1月31日
3,補助金予算の上限到達
DR補助金の概要でもお伝えしましたが、予算上限に到達するのが、とても早いことが予想されます。こどもエコすまい支援事業よりも優先して、早めに検討することをお勧めします。
2-3,DR補助金を受け取るための条件
こちらは購入する側で押さえておいた方が良い大切なポイントがいくつがあるのでご注意ください。
国が認めた事業者から購入すること
この補助金を受けるためには、蓄電池の販売施工業者がDR補助金の対象事業者として事前に登録している必要があります。
そのため、どの業者から購入してもこの補助金が受けられるわけではないのでご注意ください。
国が性能を認めた蓄電池システムであること
国から補助金事業を委託されたSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)において、令和4年度以降に登録・発表されている蓄電池システムが補助の対象となります。
DRに対応可能な設備であること
DRに対応しているかどうかというのは、蓄電池を活用して地域の節電に貢献し、電力需給がひっ迫した緊急事態には自宅に設置した蓄電池を遠隔で操作することができるかというものです。
※HEMS等を設置してのDR対応も可とする
蓄電システム購入価格と工事費の合計が、目標価格以下であること
今回DR補助金で定められている目標価格(設備費+工事費・据付費)は、15.5万円/kWhです。
目標価格を超えた高い金額で購入してしまうと補助金が受けられないという点と、見積書に入っている項目の中でも蓄電池の設置に関わるものしか設備費・工事費・据付費に加算されないという点は押さえておいてください。
補助金支給交付前に契約をしていないこと
交付前に契約をしてしまうと、補助の対象外になります。
一般的に、この順序を間違える業者はほとんどいませんが、例えば訪問販売などで来た見も知らない業者が、補助金を受けられると言って契約を迫ってきたら注意が必要です。
3,蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業(以下、DER補助金)概要
※2023年7月14日に公募開始の日付が発表されたため情報を更新しました。
DER補助金とは、蓄電池等の分散型エネルギーリソースという技術を使って、電気の安定供給や電力会社の配電の混乱を防ぐ目的の補助金です。
分散型エネルギーリソースというのは、例えるなら各家庭の太陽光発電や蓄電池を一つの大きな発電設備と考えるものです。
太陽光発電等で発電された電気が過剰に供給されることを蓄電池で防いだり、天気予報で雨が続きそうなら、あらかじめ電気を貯めておいて供給したりする、という役割を担っています。
DR補助金と名前も内容も似ていて混乱しますが、それぞれ別の補助金です。
予算は46億円用意されていますが、家庭用蓄電池だけでなく業務用も対象になります。また、ここ数年毎年恒例の補助金なので、事前に申請準備をしている方々がいることを考えると、こちらもあまり猶予はないと予想されます。
3-1,DER補助金は蓄電池1台あたり上限60万円!
DER補助金の金額は、下記により決定します。
(1)蓄電池の初期実効容量(kWh)
(2)自費設置か第三者所有モデルか
(3)設置したい機器のメーカー側が下記①及び②を満たしているか
①早期復旧や原因解明が可能な体制、異常が見つかった場合に備えて代替する電池システムの主要部品を迅速に供給できる拠点
②廃棄物処理法上の広域認定の取得
これら(1)~(3)の条件を加味すると、補助金額は4パターンになります。
■ 自費設置で上記(3)を満たしている場合:3.2万円/kWh
■ 自費設置で上記(3)を満たしていない場合:2.7万円/kWh
■ 第三者所有モデルで上記(3)を満たしている場合:4.7万円/kWh
■ 第三者所有モデルで上記(3)を満たしていない場合:4.2万円/kWh
こちらの4パターンで算出した金額で、上限を60万円として補助金額が適用されます。
ここで特に注意していただきたいのが、第三者所有モデルの方がお得に見えますが、そもそも自分で購入するわけではないので、自分が補助金を受けられるわけではないという点です。
大きな補助金が出ますので、基本的に自費設置での検討をお勧めします。
3-2,DER補助金の申請は2023年7月18日から開始
DER補助金の公募期間は2023年7月18日13:00から始まり、締め切りは2023年12月22日12:00必着となります。
こちらの補助金は、特性上、3つの締め切りがあります。
1,補助金の申し込みの期限である2023年12月22日 12:00
2,補助金申請、契約、工事、報告、補助金の支給までの完了が2024年3月29日
3,補助金予算の上限到達
DER補助金の概要でもお伝えしましたが、予算上限に到達するのが、とても早いことが予想されます。申込期限はDR補助金と同じなので、DE補助金>DER補助金>こどもエコすまい支援事業の優先度で検討するのが良さそうです。
3-3,DER補助金を受け取るための条件
国が認めた事業者から購入すること
この補助金を受けるためには、蓄電池の販売施工業者がDER補助金の対象事業者として事前に登録している必要があります。
そのため、どの業者から購入してもこの補助金が受けられるわけではないのでご注意ください。
国が性能を認めた蓄電池システムであること
国から補助金事業を委託されたSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録されている蓄電池システムが補助の対象となります。
DERの実証参加契約を結ぶこと
緊急事態で電気の需給状態を平常に保つために、自宅の蓄電池を制御信号等で遠隔操作することがあります。その同意が事前に得られるかどうかというものです。
蓄電システム購入価格と工事費の合計が、目標価格以下であること
今回DER補助金で定められている目標価格(設備費+工事費・据付費)は、14.1万円/kWhです。
※DR補助金(15.5万円/kWh)より安い金額で購入する必要がありますので購入業者も限られてきます。
目標価格を超えた高い金額で購入してしまうと補助金が受けられないという点と、見積書に入っている項目の中でも蓄電池の設置に関わるものしか設備費・工事費・据付費に加算されないという点は押さえておいてください。
補助金支給交付前に契約をしていないこと
交付前に契約をしてしまうと、補助の対象外になります。
一般的に、この順序を間違える業者はほとんどいませんが、例えば訪問販売などで来た見知らぬ業者が、補助金を受けられると言って契約を迫ってきたら注意が必要です。
地方自治体からの蓄電池の補助金
1つの商品に対して複数の国の補助金を使うことはできませんが、各都道府県や市町村からも、蓄電池の補助金が出ている場合があります。
その場合、国と県と市の補助金を併用することは可能です。
ただし、申し込み方法、募集時期や補助金額は自治体によって異なるので注意が必要です。
お住まいの地域で補助金を受けられるかどうか、購入前に自治体に確認しておきましょう。
以下、お住まいの都道府県をクリックすると、蓄電池の補助金情報が見れます。
補助金情報はややこしいのでまずは専門家に相談
補助金情報は、どの蓄電池システムが対象になるのか、どの会社が認定業者なのかなど、なかなか調べていてもわかりづらい点が多くあります。
なので、まずは専門のアドバイザーに相談し、どのような手順で比較検討を進めていけばいいのか確認するのが確実です。
補助金を利用してのご購入を検討している方はぜひ以下よりご相談ください。