蓄電池で電気代削減できるか徹底解説!本当に安くなるの?上がる場合はある?
結論:電気代削減の方法として、蓄電池を活用するためにはいくつか条件があります。前提として、太陽光発電がついている方の多くは、蓄電池をつけることで電気代が安くなります。
<<本記事のデータは2025年5月30日に更新しました。>>

日本のエネルギーは多くが海外の資源に依存しています。そのため、政治的・経済的な理由で電気代が突然高騰してしまうことも当然のように起こります。家計がエネルギー事情に振り回されないためにも、太陽光発電や蓄電池を検討してみるのはいかがでしょうか?
最近は電気代の高騰で、削減方法のひとつとして蓄電池が注目を集めています。
適切に設置をすればしっかりと電気代は安くなるものの、誤った前提で蓄電池を設置してしまい、結果的にお得にならなかったという声もSNSで見かけることもあります。
蓄電池を誤った前提で設置する方を減らすために、
・蓄電池は本当に電気代削減効果があるの?
・蓄電池で効果的に電気代を安くする方法は?
・蓄電池をおすすめできる人(できない人)は?
という側面から、電気代の削減に焦点を当てて、蓄電池をつけるべきかどうかについて詳しく解説していきたいと思います。
蓄電池で電気代が安くなる理由
まず、なぜ蓄電池を設置することで電気代が安くなるのかというと、電力会社から買う電気を減らせるためです。
電力会社のプランは大まかに二種類あります。
1,電気の使用量が増えるにつれ段階的に単価が上がるプラン
2,時間帯によって単価が変わるプラン
1の場合は電気を買う総量を減らし、2の場合は単価が高い時間帯の電気を買わないようにするというわけです。
効果的に蓄電池で電気代を削減するには?
それでは、実際に電気代削減に蓄電池を活用するためにはどうすればいいのか、3つのポイントをご紹介します。
1,太陽光発電がついていること
太陽光発電を設置することは、蓄電池を設置する上で大前提と言っても過言ではありません。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで期待できる効果は、「太陽光発電のあまった電気を蓄電池にためることで、太陽光が発電していない時間帯も電気を買わなくて済む」ことです。
蓄電池がない場合、太陽光発電のあまった電気は本来とても安い単価で電力会社に売電されてしまいます。
その安く売られてしまうはずだった電気を家で使うことで、単価が高い電力会社の電気を買わずに済むので、単に電気を買わずに済むだけでなく、太陽光発電の経済効果を高めることができるというわけです。
【蓄電池がついていない太陽光発電(基礎知識)】
太陽光発電は朝から発電を開始し、昼間に最も発電量を増やして、夕方に発電を終えるというサイクルがあります。発電した電気は都度家で消費され、あまったら勝手に電線を逆流して電力会社に売られていくため、最も家の中で電気を消費する夕方以降に家の中で電気を使う際は電力会社から電気を買わないといけません。
2,電気料金のプランを見直すこと
電気料金を見直すことで蓄電池を上手に活用する方法もあります。
上記のように太陽光発電がついている場合でも、曇りや雨、雪など日射量が極端に下がってしまう場合は、電力会社から電気を買う必要があります。
その時に時間帯によって単価が変わるプランに入っていると、蓄電池のAIが翌日の天気に合わせて安い時間帯に電気を買ってためておいてくれるため、消費量を変えずに消費額だけ下げるよう動作してくれます。
時間帯別のプランはほとんどの電力会社が用意しているので、蓄電池を活用する時には、ライフスタイルも考慮しながら時間帯別のプランで契約することをおすすめします。
下記は時間帯別プランの例です。
プランにより、昼の単価が安いのか、夜の単価が安いのか異なります。
また、プランによってはエコキュートや太陽光発電が必須条件となっていることもあるため、詳細は各電力会社のホームページをご覧ください。
電力会社 | プラン名 |
---|---|
東京電力エナジーパートナー | スマートライフプラン |
関西電力 | はぴeタイムR |
中部電力ミライズ | スマートライフプラン |
東北電力 | よりそう+スマートタイム |
北海道電力 | エネとくスマートプラン |
北陸電力 | くつろぎナイト12 |
中国電力 | おひさまシフトコース |
四国電力 | 昼トクeプラン |
九州電力 | おひさま昼トクプラン |
3,電気の使用量から蓄電池を選ぶこと
蓄電池は商品によってためられる電気の量が異なります。
家庭で使う電気の量に合わせて蓄電池を選ぶことは、電気代の削減効果に直結する要因となるため大変重要です。
太陽光発電がついているなら昼間の電気は太陽光でまかなうことができます。
しかし、多くの家庭は夕方以降に家族が帰宅して夜間に電気を使用することが多いので、夕方から翌朝にかけて使用する電気をカバーできる容量の蓄電池を選ばないと、結局一番電気を使う時間に電気を買うことになってしまうので、電気代削減メリットは実感しづらくなってしまいます。
また、夜間の電気をカバーできる容量があっても、梅雨など悪天候が続くときは蓄電池の容量が足りず電気を買うことになります。
蓄電池は、小さい容量でも無意味ということはありません。
しかし、小さい容量でも100万円を超える商品なので、ライフスタイルに容量が合わず削減メリットを十分実感できなければ、不満も大きくなります。
そのため、結果的に現在市場では10kWhを超える大容量蓄電池が人気となっています。
他の容量の選び方は下記の記事も参考にしてみてください。
必ずしも電気代が安くならないケース
蓄電池で電気代が安くならないケースは、おおまかに次の5つです。
- 太陽光発電がついていない
- 太陽光発電の発電量が少ない
- 蓄電池の容量が小さい
- 相場よりも高い価格で購入した
- そもそも電気の購入量が少ない
太陽光発電がついていない
太陽光発電と蓄電池の相性はとてもいい反面、太陽光発電がついていないと蓄電池を設置するメリットはほとんどありません。
電気代削減という側面で蓄電池だけでできることは、時間帯別電気料金プランの安い時間帯に電気をため、高い時間に使うことで、差額でメリットを出すことです。
しかし、差額だけではそこまでメリットはできません。
以下の条件でメリットを考えてみましょう。
・東京電力のスマートライフプラン(2025年6月現在)では安い時間帯が27.86円/kWh、高い時間帯が35.76円/kWh
・一ヶ月の電気使用量を500kWh(電気代としては15,000円/月ぐらいが目安)と仮定
・80%(400kWh)を安い時間帯に使って、高い時間帯に20%(100kWh)使う家庭の場合
安い時間帯の電気を蓄電池にためて、高い時間帯に使うため100kWh分が安い電気に置き換わります。
すると、3576円-2786円=790円なので、月あたり790円しか削減メリットがありません。
もちろん、高い時間帯の電気使用量が多い家庭や、全体の電気代がもっと高い家庭はこれより多くのメリットがありますが、どちらにしても蓄電池の導入費用と釣り合いのとれるメリットはありません。
蓄電池は、太陽光発電がついている家に導入することをおすすめします。
太陽光発電の発電量が少ない
太陽光発電がついていないと電気代削減メリットがないということは、発電量が少なくなればなるほどメリットも小さくなります。
発電量が低下する要因は以下の5つです。
- 元々出力が小さい
- 機器の故障で出力が下がっている
- 気象条件で日射量が低い
- パネルの劣化
- パネルの汚れ
太陽光発電は、屋根という限られたスペースに設置する関係上、なかなか後から追加で設置するのは難しいです。
そのため、元々出力が小さい場合は蓄電池の電気代削減メリットを感じづらいかもしれません。
同様に、気象条件で日射量が低い(=発電量が少ない)場合も、季節性や一過性のものでなければメリットは出づらいことが予想されます。
機器の故障、パネルの劣化、パネルの汚れに関しては、修理交換メンテナンスで性能を戻すことができるため、太陽光発電を設置してもらった業者に見てもらうことをおすすめします。
蓄電池の容量が小さい
蓄電池の容量が、電気の購入量に対して小さい場合は、十分にメリットが得られません。
電気代を安くするという側面で、蓄電池の役割は「太陽光発電が発電していない時間帯に家に電気を供給してくれること」です。
そのため、容量が不十分で供給が途切れてしまう場合は、メリットを最大限に発揮できません。
相場よりも高い価格で購入した
蓄電池を設置した後に「電気代が安くならなかった」という感想が出る場合、最も多いのが「費用に対して電気代が安くならなかった」と感じるケースです。
蓄電池を適切な相場価格で購入し、太陽光発電と一緒に長期的に使えば、電気代削減だけでなく停電対策としても活躍してくれます。
しかし、世の中の蓄電池を販売する業者は、相場より100万円以上も高く提案を出す会社の方が多いです。
訪問販売できたり、ショッピングモールで捕まってしまったり、ハウスメーカー経由で購入してしまったら当然価格は相場よりも高くなるため、しっかり比較検討しましょう。
そもそも電気の購入量が少ない
そして意外と本人が気づいていないポイントが、そもそも電気代が高くないケースです。
蓄電池はお得になると聞いて設置したものの、削減する電気がなければ、電気代で蓄電池のメリットは感じづらいはずです。
電気を購入している量に対して、削減する余地があるかどうか、事前に確認しておくことをおすすめします。
蓄電池をお得に導入するには?
それでは、いざ蓄電池を検討する場合、どのような点に注意すればお得に蓄電池を購入できるのか。
以下の3点を必ず覚えておいてください。
- 訪問販売など高いところでは買わない
- 補助金を活用する
- 見積もりを複数社でしっかり比較する
訪問販売、ショッピングモールの特設コーナーで営業をしている会社、点検や挨拶にきた会社などは、営業に人件費や歩合が乗っているため、相場よりもかなり高い傾向があります。
高いことに気づければいいのですが、営業マンを信用して調べずに契約してしまうケースがとても多いため、どんなに信用していても調べることは怠らずに検討することが大切です。
また、今年は国が蓄電池に最大60万円と大きな補助金を出しています。
場合によっては都道府県や市区町村の補助金とも併用できるケースもあり、国や行政や本気で蓄電池の普及を進めているタイミングなので、必ず活用しましょう。
補助金は申請期限だけでなく予算上限に達しても締め切るため、逃さないよう早めに検討することをおすすめします。
最後に、当たり前ですが見積もりは会社によって価格が異なります。
工事内容や利益の設定が異なっていたり、使える補助金が業者によって異なっていたり、色んな要因がありますが、比較をしないと違いも見えてきません。
そのため、どんなに面倒でも後悔せず設置できるように比較検討しましょう。