【2025年】中国産の太陽光パネルはやめたほうがいい?注目すべき国産パネルと海外産の性能・価格差を解説
2025年5月にロイター通信が「中国の太陽光インバータから通信機器が発見され、アメリカのエネルギー省が調査している」と報道しました。
またその通信機器が停電を引き起こすという話もありましたが、詳細はいまだに不明です。
本記事では、これから住宅用太陽光発電の設置を検討している方向けに、
日本の住宅用太陽光パネル市場で国産・外国産それぞれどのような選択肢があるのか解説をしていきます。
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ロイター通信が公表した中国産の太陽光パネルの疑惑
まずは話題になっているロイター通信の発表について解説します。
- 中国の太陽光発電インバータから不正な通信機器が発見される
- 中国製バッテリーから未登録の携帯電話無線機も発見
- 米国は「信頼できる機器」への切り替えを検討中
Rogue communication devices found in Chinese solar power inverters
この報道の内容は、太陽光パネルと組み合わせて使用されるインバータに「製品資料に記載のない不正な通信機器」が見つかったといったものです。
インバータはアップデートやメンテナンスのためにリモートアクセスができるように設計されていますが、事前に届けのない通信機器が組み込まれていたことから、セキュリティーをすり抜けて情報を渡したり、停電を引き起こすことも可能なのではないかと推測されています。
これらはまだ疑惑の域ではあります。一方でインバータの世界シェアを見てみると、2022年時点で上位3社が中国企業であり、このようなシェアの偏りが国家安全保障上の問題点として論点になっています。
日本の住宅用太陽光パネル市場の国産の割合は5割
「日本でも既に太陽光パネルのほとんどが中国メーカーになっている」といった内容の記事も見られますが、住宅用市場に限って言えば、国内メーカーも確かな存在感を示しています。
2025年の当社の施工店ネットワークの成約実績を見てみると、シェア1位は純国産の長州産業となっています。
かつて住宅用市場ではパナソニックが高性能モデルでけん引し、国内メーカーのシェアが8割を超えていました。
その後、海外勢の台頭によって国産比率は縮小したものの、現在でも最も選ばれているのは国産の長州産業―国内メーカーの努力と存在感は、いまも健在です。
国産の長州産業は日本の住宅屋根に適したパネル
長州産業は山口県に本社を置く、1980年創業の老舗メーカーです。もともとは給湯器メーカーとして立ち上がっており、有機ELデバイス装置や真空プロセス装置の製造もおこなっています。
太陽光パネルの販売を開始した当初はパナソニック(当時は三洋電機)のHITという高性能パネルのOEMを手掛けていましたが、その後は国内工場で自社での太陽光パネル製造を行っています。
長州産業の強みは国産ならではの安心感、そして国内の補助金への対応力にあります。かつて2021年にDER補助金にいち早く取り組み、他メーカーに先行して売り上げを伸ばしてきました。
近年では多くの自治体が設置容量に応じた補助金(例:1kWあたり〇万円)を出している中で、長州産業は正方形や台形パネルのラインナップを揃えており、多くの設置容量を確保できる点が注目されています。
海外メーカーは海外ならではの大型住宅を基準として太陽光パネルのサイズも大きめに定められていることが多いのに対し、長州産業は小型で小回りの利くラインナップです。これは国産ならではの日本の狭小住宅に特化した仕様であり、狭小屋根や複雑屋根でも設置容量を最大化できるところがポイントです。
国産メーカーと海外メーカーのどちらを選ぶべき?
シェアトップで国産メーカーの長州産業と、人気No.2で海外メーカーのハンファジャパンを比較してみましょう。
結論としては、やはりパネルの性能自体は海外メーカーのハンファに分がありますが、ラインナップが豊富で小回りの利く長州産業の方が屋根への設置容量を最大化できる場合が多いです。
どれだけ性能が良くとも屋根に乗り切らなければ意味がありませんので、住宅によって使い分けていく必要があると言えるでしょう。
長州産業の主要ラインは以下の通りです。
- Gシリーズ — ヘテロ接合セルを採用した⾼効率モデル
- Bシリーズ — 住宅の屋根形状に合わせやすい多彩なサイズラインナップ
一方でハンファジャパンは日本限定モデルとして、Re.RISEシリーズを展開しています。
- Re.RISE G3シリーズ — 新世代バックコンタクト技術を採用した⾼効率モデル
- Re.RISE S 230 — 多様な屋根形状に幅広く対応可能なスタンダードモデル
国産と海外メーカーの変換効率の違い:性能面は海外メーカーに分あり
変換効率とは、太陽光のエネルギーをどれだけ効率よく電気に変換できるかを示す指標です。太陽光パネルの大きさに限らず、パネルの性能自体を表すものとなります。
メーカー | シリーズ | 変換効率(%) |
---|---|---|
長州産業 | Gシリーズ | 20.4 |
長州産業 | Bシリーズ | 20.0 |
ハンファジャパン | Re.RISE G3シリーズ | 22.5 |
ハンファジャパン | Re.RISE S 230 | 20.8 |
海外メーカーのハンファジャパンのRe.RISE G3シリーズは22.5%と住宅用太陽光パネル市場でもトップクラス。限られた屋根面積でより多くの発電量を確保したいケースで優位性があります。
またハンファジャパンはこの出力の高さを維持することにも長けており、出力保証の値にも差が出ています。
メーカー | シリーズ | 保証期間 | 出力保証値 |
---|---|---|---|
長州産業 | Gシリーズ | 25年目 | 72%未満 |
ハンファジャパン | Re.RISE-G3 | 25年目 | 88.9%未満 |
長州産業は25年目に出力が72%未満で保証対応
ハンファジャパンは25年目に出力が89%未満で保証対応
(1~24年目は別の出力保証値が設けられています)
国産と海外メーカーの価格の違い:海外メーカーは性能と価格を両立
続いて、国産メーカーと海外メーカーの価格を比較します。
メーカー別のkW単価は以下の通りです。
メーカー(太陽光) | 4kW | 5kW | 6kW |
---|---|---|---|
ハンファ(Qセルズ) | 29.9万 | 24.6万 | 23.2万 |
カナディアンソーラー | 29.3万 | 26.8万 | 24.6万 |
長州産業 | 29.5万 | 26.3万 | 23.8万 |
こちらは当社の施工店ネットワークでの成約価格(補助金適用前)から算出しています。
先述の通り、出力面は海外メーカーに分がありましたが、性能が良いからといって価格が高くなってはいないことが分かります。
国産と海外メーカーのサイズの違い:国産は日本の住宅屋根に対応
最後に国産メーカーと海外メーカーのパネルサイズを比較します。
太陽光パネルのサイズは、設置できる容量やレイアウトを大きく左右します。
海外メーカーの多くは効率重視の大型・長方形パネルが中心ですが、国産メーカー──とりわけ長州産業は、屋根形状に合わせやすい豊富なサイズバリエーションを展開しています。
例えば長州産業のBシリーズでは3種のメインパネルに加えてそれぞれのサブパネルが用意されています。
さらには正方形のハーフパネルはもちろんのこと、台形のパネルで複雑な屋根形状にも対応可能です。
続いて、実際の見積もり事例から、国産の長州産業と海外メーカーの太陽光パネルでどれだけの設置容量の違いが出たのかの実例をお見せします。
本事例では左・下側の屋根の面積が小さく、海外メーカーではパネルサイズが大きいためほとんど設置することができません。
一方で国産の長州産業は正方形のハーフパネルや台形パネルを活用してより多くの設置容量を稼ぐことができています。
この事例では、結果として長州産業の方が約1kW多くのパネルを設置することができました。
本記事のまとめ
海外メーカーの技術革新は目覚ましく、手頃な価格で高性能の太陽光パネルが入手できる時代になりました。しかし住宅用の場合、屋根という限られたスペースに設置するため、まずは「屋根との相性」を最優先で考える必要があります。
近年は自治体の補助金を活用して設置するケースも増え、住宅ごとに最適なメーカーが変わってきました。人気や価格だけで選ぶのではなく、初期費用と発電量・保証・メンテナンスを含めた総合的なコストパフォーマンスを確認しましょう。さらに、これから20~30年にわたり使い続ける設備であることを踏まえ、信頼性やサポート体制まで含めて慎重に検討することが大切です。