太陽光発電の足場の設置は絶対に必要なのか?
富山県の太陽光発電の設置業者様から「太陽光発電の設置には足場が必要であるということをもっと訴えてほしい」との提案をいただきました。
詳しく聞くと、近年設置工事時に発生している落下による死亡事故等を受け、地方管轄の労働基準監督署から「太陽光発電協会」や、「J-PEC」へ、「労働安全衛生規則遵守」に対する注意喚起が何年も前からされており、業界を挙げて考えなければならない事ではないかというものでした。
この足場を設置するべき、しなくてもよいという話はもう十数年ずっと続いていて、正解のない問いのような一概にこれが正しいと言えないのが現状です。
足場を設置した方が当然安全です。そして足場代は家の大きさにもよりますが、十数万円はかかりますので足場を設置しない方が安くなります。
- 少しでもお客様に魅力的な金額を提案するために足場設置をしない会社
- より安全な工事、効率的な工事をしようと足場を設置を義務としている会社
と、
どちらにも正義があり、現状はどちらも正しいと言えます。
厚生労働省の「労働安全衛生規則」の第五百十八条に、
「業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。」
とあります。
見解が分かれるのは、設置義務があるのは「足場」ではなく「作業床」と定義されていることによります。
なぜなら太陽光発電工事の場合、屋根上での作業となりますので、この屋根面自体が「作業床」とみなすことができるからです。
ではどのような屋根面であれば、「作業床」とみなせるのか?
厚労省に直接確認をしてもこのあたりは言葉を濁されます。例えば1寸勾配は角度にして約5.7度です。この位の角度ですと私のような職人ではない素人でも正直怖くはありませんし、ほぼ平らな床とみなせて作業することができます。
ではこれが屋根勾配で多い、4寸勾配(角度にして約21.8度)、5寸勾配(角度にして約26.6度)となるとどうでしょうか?
正直素人には怖くて無理なのですが、職人さん達はこの位はあまり気にならないという意見が大多数です。
ただ普段は足場を設置しない施工会社でも、6寸勾配(角度にして約31度)となると意見が分かれます。
また、同じ勾配でも屋根材によってもその滑りやすさが違うので、スレートならば6寸まで足場なしでも大丈夫だが、瓦屋根の場合は5寸以上は足場が必要というような見解を示される施工会社も多いです。
このように太陽光発電の設置工事において、常に足場が必要であるとは言えないのですが、屋根の状況によってその判断は変わってきますので、検討の際には自分の家の場合ではどうなのか各社の見解をしっかりと聞いてみてください。
繰り返しになりますがどちらが良いという事はありません。
足場を設置した方が安全ですが、金額は上がります。
足場を設置しない方が安いのですが、ご自宅敷地内での事故リスクは高まります。
メーカー主導で話し合いがなされ、この勾配、この屋根材ならば足場設置がいる、いらないというような規定を作って頂く事を期待します。





















