【2024年】太陽光発電の自家消費で電気代削減。売電するよりもお得に。家庭用も産業用も自家消費が必須化。
太陽光発電は自家消費の時代に
太陽光発電業界は変革の時を迎えています。
これまで太陽光発電は、電気を余らせて売った方がお得な「売電の時代」でした。
しかし2020年度以降は発電した電気を自家消費した方がお得な「自家消費の時代」になります。
特に2024年現在の電気代高騰は「自家消費」に大きな追い風となっており、太陽光発電の投資回収期間を短くする要因の一つとなっています。
この記事では、2020年代は自家消費の方がお得になるその理由と、自家消費比率を増やす3つの方法について詳しく解説します。
売電価格が買電価格を下回る
なぜ2020年度以降は「自家消費の時代」になるかというと、以下の三つの理由があります。
- 2020年に太陽光を設置する場合の固定買取価格が21円となり電気の購入価格を下回った。
- 2022年以降、燃料費が上がったことで電気料金が大きく上昇した
- 2019年11月から固定価格買取期間が終了する人が出てきた。(2019年問題)
固定買取期間終了後の売電価格は買電価格を下回る。 - 2020年から10kW以上の産業用も全量買取ではなく、自家消費型必須の要件となった。
つまり、いずれの場合も売電価格が電気の購入価格を下回るので、発電した電気は売らずに自家消費した方がお得になるということです。
これまで売電という仕組み(国からの補助)のおかげでメリットが出ていた太陽光発電ですが、もはや電気代削減効果により大きな独自メリットを生み出せるようになりました。
それでは、具体的に自家消費する場合と売電する場合でどれほどの経済メリットの差が生まれるのか見てましょう。
自家消費の経済メリットは28.78円~33.55円/kWh程度
まずは自家消費した場合の経済メリットから解説します。
結論から言うと、2020年時点で自家消費の経済メリットはガス併用のご家庭では29.46円~33.55円/kWh、オール電化のご家庭ではは28.78円/kWhが目安です。(東京電力の場合。一部例外あり)
2024年現在ではさらに電気代が高騰しているため、より大きなメリットが見込めます。
自家消費による経済メリットは「電力量料金」+「再エネ賦課金」で算出できます。詳細は以下の通りです。
ガス併用の電力量料金 第2段階26.48円/kWh、第3段階30.57円/kWh
一般的な電気料金プランの例として、東京電力従量電灯Bの料金表はこちらです。
従量電灯Bはオール電化ではなくガス給湯器を併用しているほとんどのご家庭が利用している料金プランです。
単位 | 料金(税込) | ||
---|---|---|---|
電力量料金 | 最初の120kWhまで(第1段階料金) | 1kWh | 19.88円 |
120kWhをこえ300kWhまで(第2段階料金) | 〃 | 26.48円 | |
上記超過(第3段階料金) | 〃 | 30.57円 |
平均的な世帯の電気使用量は、おおよそ月平均で370kWh程度※1ですので、従量電灯Bの料金プランの場合、太陽光発電を自家消費すると削減できる電気料金は、第二段階料金の「26.48円」もしくは第3段階料金の「30.57円」のいずれかになると考えられます。
※1総務省統計局、家計調査報告2017年の二人以上世帯の電気代平均10,312円から算出。40Aでの契約だと仮定して、基本料金は1,123円20銭で計算。
オール電化の電力量料金 日中は25.80円/kWh
次にオール電化向けの電気料金プランについても確認してみます。
東京電力のオール電化向け料金プラン、スマートライフプランの価格はこちらです。
時間帯 | 単位 | 料金 | |
---|---|---|---|
電力量料金 | 午前1時~午前6時 | 1kWh | 17.78円 |
上記以外の時間帯 | 〃 | 25.80円 |
ガス併用向けの従量電灯Bとは異なり、時間帯で料金が分かれています。
太陽光発電が発電するのは日中の時間帯ですので、自家消費すると削減できる金額は25.80円/kWhです。
2020年の再エネ賦課金は2.98円/kWh。2020年5月に価格更新
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは|経済産業省資源エネルギー庁
再エネ賦課金とは、国が再生可能エネルギー電気の買い取りに要した費用を電気料金に上乗せすることで電気利用者が負担する仕組みです。
再エネ賦課金は電力会社から購入する電力量に応じて課金されます。
太陽光発電でつくった電気を自家消費すると購入電力量が少なくなりますので、再エネ賦課金も安くなります。
今後再エネ賦課金は更に高くなる見込み
再エネ賦課金は政府が再生可能エネルギー拡大のために投ずる費用に応じて価格が決まります。
再生可能エネルギー拡大のために投ずる費用は2017年時点で約2.7兆円でしたが、現在計画しているエネルギーミックスによると、2030年には3.7兆円~4.0兆円になる見込みです。
再エネ賦課金は年々上昇しており、2020年度の再エネ賦課金は2.98円/kWhと設定されましたが、今後も高騰することは確実です。
2020年度の固定買取価格(売電価格)は21円で統一
続いて、売電した場合の経済メリットについて解説します。
2019年に太陽光発電を新設した場合の固定買取価格(売電価格)は以下の通りです。
区分 | 2019年度 (今年度) |
2020年度 | 売電期間 | |
---|---|---|---|---|
買取価格 (10kW未満) |
出力制御対応機器 設置義務なし |
24円/kWh | 21円/kWh | 10年間 |
出力制御対応機器 設置義務あり |
26円/kWh | 21円/kWh | 10年間 |
出力制御対応機器設置義務ありなしのエリアによっての売電価格の違いはなくなりました
自家消費の経済メリットはガス併用の場合は29.46円~33.55円/kWh、オール電化のご家庭では28.78円/kWhですので自家消費した方が断然お得です。
固定価格買取期間終了後の売電価格は11円/kWhが目安
次に、既に太陽光発電設置済みで、今後固定価格買取期間が終了する方の売電価格です。
2019年に約53万件、2023年までに約165万件の固定価格買取期間が終了します。(このことは「2019年問題」と言われています。)
固定価格買取期間終了後の売電価格は各電力会社との自由・相対契約となりますので決まった価格はありませんが、目安は11円/kWh程度と想定されています。
固定価格買取期間が終了した後は、売電するよりも自家消費した方が確実にお得です。
自家消費 三種の神器
「蓄電池」「エコキュート」「電気自動車(V2H)」
経済産業省の資料によると、平成28年1月~3月以降に運転を開始した10kW未満の太陽光発電の平均出力は5kW、余剰売電比率は71.8%です。
つまり現在太陽光発電でつくった電気のうち、自家消費されているのはおおよそ30%ということです。
今後は太陽光発電の経済メリットを増やすためには、この割合を増やす必要があるということです。
太陽光発電の自家消費割合を増やすためには、下記の3つの機器を導入することが有効です。
- 家庭用蓄電池
- 電気自動車(V2H)
- エコキュート
それぞれ詳しく解説していきます。
自家消費割合を増やす方法1. 「家庭用蓄電池」
太陽光発電でつくった電気を自家消費する方法と聞いて最初に思い浮かべるのが蓄電池ではないでしょうか。
蓄電池があれば太陽光発電でつくった電気を蓄電池に貯めて、太陽光発電が発電しない時間帯に放電することで自家消費比率を高めることができます。
蓄電池自体が高額という懸念点はありますが、自家消費比率を増やすことによる経済メリットによって、実質的にはわずかな負担で導入することが可能です。
蓄電池は経済効果が目的の製品ではなく、災害時に電気が使える「安心」や電力会社に頼らない暮らしができるということを目的とした製品です。
太陽光発電に経済効果だけでなく、「安心」や「エコ」というメリットも求めたいという方はご検討がおすすめです。
蓄電池の導入で太陽光発電のパワーコンディショナが新品に
これから太陽光発電を設置するのではなく、既に太陽光発電を導入している方の場合、蓄電池を導入することで得られるメリットがもう一つあります。
それは、蓄電池のパワーコンディショナを太陽光発電にも対応した「ハイブリッドパワーコンディショナ」にすることで、既存の太陽光発電のパワーコンディショナの修理、交換が不要になるということです。
2019年問題対象者の場合、パワーコンディショナの保証期間は10年間のはずなので、それ以降の修理、交換は有償になってしまいます。
蓄電池の導入によってパワーコンディショナの交換が不要になるのは大きなメリットです。
自家消費割合を増やす方法2.「電気自動車(V2H)」
近年著しく普及している電気自動車も太陽光発電を自家消費するのに非常に役に立ちます。
太陽光発電でつくった電気を電気自動車に貯めて、車を走らせるエネルギーとすることで自家消費比率を高めることができます。
また、V2Hという機器を導入すれば、太陽光発電で作った電気を電気自動車に貯めるだけでなく、更にその電気をご家庭に流して使うことも可能です。
最近ではニチコンが希望小売価格398,000円(消費税・設置工事費別)という安価な製品も発表しており、V2Hは固定価格買取期間終了後の現実的な選択肢であると言えます。
既に電気自動車を所有している方にはV2Hがお勧めです。
自家消費割合を増やす方法3.「エコキュート」
電気給湯器のエコキュートの導入も自家消費比率を高めることにつながります。
従来のエコキュートは電気料金のプランを深夜が割安、日中が割高ないわゆる「深夜電力」にして、深夜の電気代が安い時間帯にお湯を沸かすというものでした。
しかし最近では、太陽光発電でつくった電気を使ってお湯を沸かすことで、太陽光発電の電気の自家消費割合を高めることができるエコキュートが発売されています。
先ほど紹介した家庭用蓄電池や電気自動車(V2H)と違い、給湯器は一家に一台必ず必要なものです。
現状のガス代が安い場合や、給湯器を変えたばかりという場合は無理に導入する必要はありませんが、そうでなければ太陽光発電の自家消費比率を高めるためにエコキュートを導入することは非常におすすめできます。
HEMSとの連携で更に効率的に自家消費比率を高められる
HEMSと「家庭用蓄電池」や「電気自動車(V2H)」「エコキュート」を組み合わせることで、更に効率よく自家消費比率を高めることが可能です。
HEMSとは太陽光発電の発電量や各家電ごとの電力使用量を「見える化」したり、管理をすることができるシステムです。
HEMSはインターネットとつながるため、外部からの情報にあわせて太陽光発電や家電を最適に制御することも可能です。
例えば、パナソニックのHEMSの「AIソーラーチャージ機能」では天気予報データを活用してエコキュートに効率的に給湯が可能です。
翌日の天気予報が晴れであれば、エコキュートの夜間の沸き上げを少なくして、日中に太陽光発電の電気を多く使って沸き上げを行い、逆に翌日の天気予報が雨であれば、夜間の沸き上げ量を増やすといったことができます。
天気が急変したときには蓄電池に貯めておいた電気を使って沸き上げを行うことも可能です。
効率的に太陽光発電で作った電気を自家消費したいという方はHEMSも導入するのがおすすめです。
10kW以上の産業用も自家消費が必須に
2020年度から10kW以上50kW未満の太陽光発電システムについては、全量売電ができなくなりました。2012年7月から大ブームを巻き起こした全量買取の野立て太陽光発電システムはその役割を終え、形を変えることになりました。
自家消費型の地域活用要件というものが定められ、以下の2つの基準を満たさないことになったからです。
- 発電電力量の少なくとも30%の自家消費を行うこと。又は、発電電力量の少なくとも30%について、電気事業法に基づく特定供給を行うこと。
- 災害時に活用するための最低限の設備を求めるものとして、災害時のブラックスタートが可能であることを前提とした上で、給電用コンセントを有し、当該給電用コンセントの災害時の利活用が可能であること。
空き地に太陽光パネルを設置する野立ての太陽光発電システムではこの要件をクリアすることは実質的に難しく、これからは実需のある工場の屋根などが主体となっていくと思われます。
まとめ
2020年度以降、太陽光発電は以下の2つの理由から自家消費の時代に突入します。
- 2020年に太陽光を設置する場合の固定買取価格が買電価格を下回った。
- 2019年に始めて固定価格買取期間が終了する人が出てきた。(2019年問題)
固定買取期間終了後の売電価格は買電価格を下回る。 - 2020から10kW以上の産業用も全量買取ではなく、自家消費型必須の要件となった。
- 2022年以降、燃料費が上がったことで電気料金が大きく上昇した
これから太陽光発電を導入する方、これから固定買取期間が終了する方が太陽光発電の経済メリットを最大限に得るためには「どのような方法で自家消費するか」を考えることが求められます。
太陽光発電の自家消費を増やすには以下の3つの機器を導入する方法があります。
- 家庭用蓄電池
- 電気自動車(V2H)
- エコキュート
また、いずれの機器も「HEMS」と組み合わせることで最適な制御が可能となります。
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