【2026年】家庭用ペロブスカイトは実用化された?世界シェア2位の国産ヨウ素が使われた次世代型太陽光発電。寿命や価格は?タンデム型は開発された?
ペロブスカイト太陽電池は、すでに実用化が始まっています。
海外では2024年にタンデム型太陽光パネルの商用出荷が始まり、日本でも2026年3月に積水化学工業がフィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」の事業開始を発表しました。
さらに、住宅の屋根にも関係する大きな動きがあります。カネカは2026年2月、シリコンとペロブスカイトを組み合わせたタンデム型太陽電池を2028年度に販売開始する計画を発表しました。
つまり、ペロブスカイト太陽電池は「いつ実用化するか分からない未来の技術」ではなくなっています。
ただし、2026年10月現在、一般家庭が従来の太陽光パネルと同じように自由に製品を選び、見積りを比較して導入できる段階ではありません。現状は公共施設・企業向けの導入や実証が先行しています。
- 実用化:すでに開始。2026年には国内でも事業化
- 家庭向け:カネカが2028年度の製品販売開始を計画
- 価格:家庭用の一般的な販売価格はまだ決まっていない
- 今設置するべき?:通常の住宅なら既存のシリコン型が現実的
この記事では、「実用化はいつか」「家庭用は何年から買えるのか」「価格・寿命はどうなるのか」「今の太陽光パネルの導入を待つべきか」を、2026年10月までのメーカー・政府の公式情報をもとに解説します。
ペロブスカイト太陽電池とは
日本発の再エネ技術として、「ペロブスカイト太陽電池」に注目が集まっています。
太陽電池と言うと屋根上や野原に設置した黒い大型のパネルをイメージする方が多いと思います。
これらはいわゆる「シリコン系太陽電池」と呼ばれるもので、シリコンをベースに作られています。
一方で、「ペロブスカイト太陽電池」は何で作られているのでしょうか。
「ペロブスカイト太陽電池」はペロブスカイト結晶構造と呼ばれる化合物を発電層に使用しています。
このペロブスカイト結晶構造は従来のシリコンとは異質の特徴を持っているのです。
- ペロブスカイトは低コスト化が見込める
- 軽くて柔軟で設置場所が豊富
- 原料のヨウ素は日本が産出国
ペロブスカイト太陽電池の実用化はいつ?今後の予定
実用化を考えるときは、「研究で高性能を達成した」「事業として製品の供給を始めた」「一般家庭で普通に買えるようになった」という3つの段階を分けることが大切です。
2026年現在、最初の2段階は着実に進んでいます。一方、一般家庭への本格普及はこれからです。
| 時期 | 実用化に向けた主な動き | 位置づけ |
|---|---|---|
| 2024年 | 英Oxford PVがペロブスカイト・シリコンタンデム型パネルを米国の顧客へ商用出荷 | 海外で商用化がスタート |
| 2026年3月 | 積水化学が「SOLAFIL」の事業開始を決定。対象顧客への供給協議を開始 | 国内で事業化 |
| 2026年9月 | パナソニックが神戸の公共施設でガラス型太陽電池の運用を開始 | 実施設での実証 |
| 2027年度 | 積水化学が年間100MW規模の生産ライン立ち上げを計画 | 供給能力の拡大 |
| 2028年度 | カネカがタンデム型太陽電池の製品販売開始を計画 | 屋根向け製品化の注目時期 |
| 2030年までの早期 | 政府が国内でGW級の生産体制を構築する方針 | 国内量産の目標 |
| 2040年 | 政府が国内で約20GWの導入を目指す | 普及拡大の目標 |
特に注目したいのは、カネカが2028年度の製品販売開始を具体的に打ち出していることです。以前は「タンデム型は研究段階で実用化はまだまだ先」といわれていましたが、現在では販売計画が発表されるところまで進んでいます。
ただし、2028年度はメーカーの計画であり、全国の住宅施工会社で一斉に取り扱いが始まると決まったわけではありません。
出典:カネカ公式発表(2026年2月)/積水化学公式発表(2026年3月)/資源エネルギー庁
ペロブスカイト太陽電池の最新ニュース【メーカー別】
積水化学:2026年に「SOLAFIL」を事業化、2027年度に量産拡大へ
日本で実用化をリードしているのが積水化学工業です。
2026年3月27日、フィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」の事業開始を決定したと発表しました。金属屋根向けの製品と設置仕様の準備が整い、自治体や事業者への供給に向けた具体的な協議を開始しています。
2026年度の生産量は限定的ですが、2027年度に100MW規模の生産ラインを立ち上げ、供給を拡大する計画です。
100MWは10万kW。仮に1住宅当たり5kWとして計算すると、設備容量では2万世帯分に相当します。ただし、SOLAFILが実際に2万世帯へ販売されるという意味ではなく、生産規模をイメージするための比較です。
また、2026年9月には鹿児島県志布志市で、台風や塩害などの影響を確認する新仕様の実証実験を開始しています。日本の厳しい屋外環境で使える製品に向けて開発が進んでいます。
カネカ:2028年度にタンデム型を販売する計画
一般家庭の屋根への設置を考えるうえで、見逃せないのがカネカの発表です。
カネカは2026年2月、NEDOのタンデム型ペロブスカイト太陽電池の量産技術実証事業に採択されたと公表しました。
同社が開発するのは、シリコン太陽電池の上にペロブスカイト太陽電池を重ねるタイプです。異なる波長の光を利用することで、従来のシリコン型より高い変換効率を目指します。
2028年度の製品販売開始を計画しており、住宅用の瓦一体型モジュールなども視野に入れています。
さらに2026年3月から、さいたま市でタンデム型太陽電池の屋外実証も進めています。
「将来、住宅の屋根に設置する太陽光パネルがペロブスカイトに置き換わるのか」という疑問に対して、特に注目したい動きといえるでしょう。
出典:カネカ「2028年度の販売開始計画」/さいたま市での実証事業
パナソニック:建物の窓や壁に使えるガラス型を実証
パナソニックが開発するのは、建物の窓や外壁などへの設置を想定したガラス型ペロブスカイト太陽電池です。
2026年9月24日には、神戸港の遊覧船ターミナル「かもめりあ」で運用を開始しました。施設の入口にガラス型太陽電池8枚を設置し、2029年3月までを予定する実証で、発電性能や設置工法などを検証します。
従来のように屋根へパネルを並べるのではなく、窓や外壁と発電設備を一体化できることが、この技術の大きな魅力です。
ただし、一般家庭向けの価格や販売開始日は、現時点で明らかになっていません。
海外ではタンデム型の商用出荷も始まっている
国内のニュースだけを見ると実証段階の印象が強いかもしれませんが、海外ではすでに製品の商用出荷が始まっています。
英国のOxford PVは2024年9月、ペロブスカイトとシリコンを組み合わせたタンデム型太陽光パネルを、米国の顧客に商用出荷したと発表しました。
これは家庭向け量販店で広く販売されているという意味ではありませんが、タンデム型が研究室の外へ出た重要な事例です。
また、2026年7月には中国のLONGiが、研究用のシリコン・ペロブスカイトタンデム型セルで変換効率35.5%を達成したと発表しています。
35.5%は研究用セルの数値であり、住宅向けの完成品パネルの変換効率ではありません。それでも、次世代太陽電池の高効率化が進んでいることが分かります。
出典:Oxford PV公式発表(2024年9月)/LONGi公式発表(2026年7月)
結局、ペロブスカイトの実用化を待った方が良い?
「今すぐに太陽光パネルを設置する」か、「ペロブスカイト太陽電池の実用化を待つ」か迷っている方は多いと思います。
まず上記のように太陽光パネルの本場である中国では既にペロブスカイトを販売している企業もありますが、まだシリコン太陽電池と同様の量産には至っておりません。
一つ注意しなければならないポイントは「量産」が進むと製品価格は安くなると想定できますが、それによってすぐに既存のシリコン太陽電池よりもお得になるとは言い切れない点です。
またペロブスカイト太陽電池の大きなデメリットとして、劣化が早く、現状で寿命が5年以下しかないとも言われています。長期運用(25年以上)できるシリコン太陽電池と比べて、設置費用が安くなったとしてもトータルの収益では分が悪くなる可能性もあります。
屋根上の太陽光パネルの置き換えとして期待されているのは「タンデム型」と呼ばれるシリコンとペロブスカイトを組み合わせた種類です。これの普及が進めば話は変わってきますが、まだ研究開発の段階です。
現状では、フィルム型・ガラス型で製品価格がシリコン太陽電池の20%(寿命25年に対して5年と考えて)、さらに都度の工事費分も賄えるのであれば選択肢として挙がってくるかもしれません。
一方で、既存の太陽光パネルの収益性はどうでしょうか。
太陽光発電シミュレーション概要
| メーカー | kW数 | 価格 | 回収年数 | 20年目利益 |
|---|---|---|---|---|
| 長州産業(Bシリーズ) CIC (CS-340B81) |
6.12kW | 134.0万円 | 9.09年 | 106.7万円 |
| メーカー | kW数 | 価格 |
|---|---|---|
| 長州産業(Bシリーズ) CIC (CS-340B81) |
6.12kW | 134.0万円 |
| 回収年数 | 20年目利益 | |
| 9.09年 | 106.7万円 | |
| 電気代削減(年間) | 売電収入(年間) | 導入メリット(年間) |
|---|---|---|
| 74,304円 | 78,759円 | 153,063円 |
収支シミュレーション(万円)
設置費用がどのように回収されるかを示したグラフです。
| 年数 | 費用 | 導入メリット | メリット(累計) | |
|---|---|---|---|---|
| 0年目 | 134.0万円(設置費用) | 0.0万円 | 0.0万円 | |
| 1年目 | - | 15.3万円 | 15.3万円 | |
| 2年目 | - | 15.3万円 | 30.6万円 | |
| 3年目 | - | 15.2万円 | 45.8万円 | |
| 4年目 | 2万円(点検費用) | 15.2万円 | 59.0万円 | |
| 5年目 | - | 15.2万円 | 74.2万円 | |
| 6年目 | - | 15.2万円 | 89.4万円 | |
| 7年目 | - | 15.1万円 | 104.5万円 | |
| 8年目 | 2万円(点検費用) | 15.1万円 | 117.6万円 | |
| 9年目 | - | 15.1万円 | 132.7万円 | |
| 10年目 | (設置費用の回収完了) | 15.0万円 | 147.7万円 | |
| 11年目 | - | 12.0万円 | 159.7万円 | |
| 12年目 | 2万円(点検費用) | 12.0万円 | 169.7万円 | |
| 13年目 | - | 11.9万円 | 181.6万円 | |
| 14年目 | - | 11.9万円 | 193.6万円 | |
| 15年目 | - | 11.9万円 | 205.5万円 | |
| 16年目 | 2万円(点検費用) | 11.9万円 | 215.4万円 | |
| 17年目 | 20万円(パワコン交換) | 11.9万円 | 207.2万円 | |
| 18年目 | - | 11.9万円 | 219.1万円 | |
| 19年目 | - | 11.8万円 | 230.9万円 | |
| 20年目 | 2万円(点検費用) | 11.8万円 | 240.8万円 | |
| … | (20年目以降もメリットは出続けます) | |||
・回収年数=設置費用÷導入メリット
・売電価格: 15.0円/kWh(2025年度中に設置の場合)
・11年目以降の売電価格: 9.0円/kWhと仮定。
・買電価格: 36.0円/kWhを仮定(一般的な家庭の買電価格)
・4年ごとに訪問点検費用2万円を計上
・17年目にパワコン交換費用 20万円を計上(20万円/台×1台)
・毎年0.27%ずつ発電量が劣化していくと仮定。
・日射量データは指定地域に最も近い観測地点「愛知県名古屋」のデータを使用。
正確な発電量シミュレーションが必要でしたら見積り依頼をしてください。
こちらは平均的な容量を設置した際のシミュレーションデータです。メンテナンス費用も込みで計算しています。コスパの良い海外メーカーを選べばより短期間で回収も可能です。
電気代が高騰し続けている現在では太陽光パネルの収益性は向上しており、おおよそ年間に10~20万円程度のメリットがあります。(住宅や太陽光パネルの種類によってこの値は異なります)
耐久性が5年程度のペロブスカイト型と異なり、既存の太陽光パネルの耐久性(企業が保証している期間)は25年~30年程度であり、実際にはそれ以上発電するとも言われている長期運用商品です。
ペロブスカイト型を待つ間に、これだけの収益を得る機会が失われているということは認識すべきでしょう。
また今はエネルギーの自給自足について政府が問題視し、家庭用太陽光パネルの普及のために義務化の流れや数多くの補助金が支給されています。第一の補助金とも考えられていた売電制度の縮小化が進む中、この補助金バブルがいつまで続くのかも疑問視されています。設置を後回しにすることで、補助金の恩恵が受けられなくなることは避けたいところです。
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ペロブスカイト太陽電池のメリット・デメリット
メリット1:軽量で、これまで設置できなかった場所に使える
フィルム型は薄く軽量で、従来の重い太陽光パネルを載せにくかった屋根や壁面にも設置できる可能性があります。
特に工場や倉庫、体育館など、大きな屋根はあっても耐荷重に制限がある建物で期待されています。
メリット2:窓や壁も発電設備にできる
ガラス型は窓や外壁などの建材と一体化できることが特徴です。都市部のビルのように屋根面積が限られる建物でも、発電できる場所を増やせる可能性があります。
メリット3:原料の一部を日本国内で調達できる
主要材料の一つであるヨウ素は、日本が世界第2位の産出国で、世界生産量の約30%を占めています。
太陽電池のすべての材料を国内で調達できるわけではありませんが、日本の産業として供給網を作りやすい点は強みです。
メリット4:タンデム型では発電効率の大幅向上が期待できる
タンデム型は複数の発電層を重ねることで、通常のシリコン型より多くの光を電気に変えることを目指しています。
研究段階では35.5%の変換効率が発表されており、将来は同じ屋根面積でも、より多くの発電量を得られる製品が期待されます。
デメリット1:製品価格と施工費用がまだ読みにくい
生産規模が小さい段階では、製造費や施工費が高くなりやすく、住宅用の価格相場ができていません。
デメリット2:長期の屋外使用実績が限られる
耐久性は改善していますが、従来型と比較できるほどの長期使用実績や保証体制は、まだ十分に整っていません。
デメリット3:鉛の管理や施工方法の確立が必要
高効率な製品の多くには鉛を含む材料が使われるため、破損時の漏出対策や廃棄・リサイクル時の管理が重要です。
また、薄く柔軟な製品は従来型と固定方法などが異なります。NEDOは2026年3月、フレキシブル太陽電池の設計・施工ガイドラインを公開しており、安全な導入方法の整備も進んでいます。
出典:NEDO「フレキシブル太陽電池の設計・施工ガイドライン」
このように考えると、ペロブスカイト太陽電池は夢のような技術ではあるものの、私たちが低コストに利用できるようになるのは、まだまだ先なのかなぁという感じがします。
結晶シリコン太陽電池も、発明されてから50年以上かけて、やっと現在のように少しずつ普及が進んでいる状態になっています。
新しい技術が生まれて、それを利用できるようになるには、大変な時間と労力が必要なんですね。
そう思うと、現在すでに製品として流通している太陽光発電システムをここまで発展させてきた技術者のみなさまに、自然と感謝の気持ちが湧いてきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. ペロブスカイト太陽電池とは何ですか?
A. ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造を持つ化合物を発電層に使用した次世代の再生可能エネルギー技術です。従来のシリコン系太陽電池とは異なり、低コスト化が見込め、軽くて柔軟性が高いため、設置場所が豊富であるという特徴があります。
Q2. 家庭用太陽光発電としてペロブスカイト太陽電池の実用化はいつ頃になりそうですか?
A. 中国では既に販売している企業もありますが、本格的な量産は2025年以降になる予定です。しかし、量産が進んでもすぐに既存のシリコン太陽電池よりお得になるとは限りません。
まとめ
未来の世界ではペロブスカイト太陽電池の実用化で、今以上に広い用途で太陽光発電が利用されるようになることでしょう。
しかも、そのペロブスカイト太陽電池が日本発の技術というのも嬉しいところです。
とはいえ、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けては、鉛の使用や、耐久性、大型化といった課題がまだまだあるのも事実です。
もし、現在すでに太陽光発電を設置できる条件が整っているようでしたら、ペロブスカイト太陽電池の実用化を待つよりも、今あるものを導入する方が現実的だと思います。
太陽光発電の導入を検討している方は、お気軽にソーラーパートナーズまでご相談ください。






















