本当は低照度特性に優れたパネルはどのメーカーでも作れる!? 年間発電量を優先するQセルズの良心

ハンファQセルズジャパン株式会社 執行役員 PVシステム事業部 事業部長 東洋一氏

他メーカーは定格出力を優先して低照度特性を追求しない

中村: 低照度特性がドイツで求められた背景についてよく理解できました。
技術的な面についても聞かせてください。
Qセルズはどのような方法で低照度特性が高いパネルを製造することができたのでしょうか。

東氏: 実は低照度特性を高めるためには特別な技術力が必要なわけではありません。

技術的には他メーカーも低照度特性の高いパネルを製造することはできます。
ただ、製造しないだけです。

中村: 他メーカーも技術的には低照度特性に優れたパネルを製造できるというのはどういうことでしょうか。驚きを隠せないのですが…。

東氏: 技術的なことで詳細は省きますが、低照度特性の高いパネルというのはQセルズに限らず、どのメーカーでも技術的にはまず間違いなく作れます。
ではなぜ他のメーカーが作らないのか。理由は明確です。
なぜなら低照度特性を追求すると公称最大出力、つまりカタログなどに表記するスペック上のkW数が落ちるというデメリットがあるからです。

中村: 初めて聞きました。俄然興味がわきます。

kW数(瞬間最高発電量)を追い求めても意味がない

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東氏: 現在、日本では太陽光発電のコストパフォーマンスを測る指標として、主にkW単価という考え方がされますよね。
そのことからもわかるように、検討者はできるだけ安くできるだけ「kW数」を多くしたいと考えます。
ただ、kW数がどのような条件で決まるのか、考えてみてください。

kW数というのはパネル表面温度25度、エアマス1.5、日射強度1kW/㎡という非常に発電しやすい条件下での瞬間出力値によって決まります。
では、そんな好条件がそろうことは1年で何回あるのか。ほとんどありません。

中村: ないですね。特に日本においてはそもそもパネルの表面温度25℃というのは冬でないとありえないですし、冬は日射角度が低いので1kW/㎡が達成できないですね。

東氏: そうですよね。公称最大出力が発電できるときの発電量、つまりkW数を追い求めてもあまり意味がないんです。
しかし、日本においては太陽光発電の能力はkW数で決まると考えられがちです。
これは実はとてもおかしいことなんです。
実際にはパネルのkW数通りに発電することはほとんどないんですからね。

本質はkWh 実利を優先するQセルズの哲学考え方

中村: 確かに皆一様に、ご提案されたシステムのkW数を気にしていますね。
逆に「年間でkWあたりどれぐらい発電するのか」ということはあまり気にしていないように思います。

東氏: 日本の太陽光発電市場でお客様が最初に気にするのはkW数です。
そのため、低照度特性を高めるためにkW数を犠牲にするのは「売りやすさ」という観点ではあまり良い選択ではなのかもしれません。

ただ、kW数ではなく低照度のときを含めた年間発電量を追求するのが太陽光発電メーカーとして本来あるべき姿だと私たちは考えています。

中村:その通りですね。

東氏:Qセルズも日本で販売しやすいようにしようと思えば、もっとkW数の高いパネルを作ることが可能です。

例えば当社の300Wのパネルの低照度特性を犠牲にして定格出力を310Wにすることはできます。
これは特に難しいことではありません。

しかし、当社は低照度特性を犠牲にしてまでkW数を最大化させるつもりはありません。
それは、年間を通した発電量つまりkWhが太陽光発電の本質だからです。

年間発電量を最優先するので、表面的なkW数だけを向上させることは目指さないというのが、Qセルズのメーカーとしての考え方です。

中村: それを聞くと他メーカーに比べて御社の出力保証制度が優れているのも理解ができます。
そもそもkW数に対しての発電量、つまりkWhが多く設計されているので、厳しい保証条件を設定しても問題ないということですね。

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保証制度|Qセルズ

東氏: するどいですね。その通りです。
別に差別化をしようと無理に優れた保証条件にしているわけではなく、パネルの特性上そのくらいの保証をしても問題ないとしっかりと計算をして判断しています。

日本もこれからはkWhで考えるようになる

中村: いきなりドイツのようにとはならないかもしれませんが、日本でも仮想通貨があれだけ流行っていますし以前と比べて投資に対しての抵抗感はなくなってきているように感じます。

そうなるとkW至上主義だった日本の太陽光発電検討者も、シビアに投資価値を見極めていくドイツ人のように、kWhを重視していくように変わっていくかもしれません。

東氏: 間違いなくkWhの時代に日本もなっていくと思います。
これから日本は2019年問題を迎えます。
太陽光発電システムは蓄電池とセットで導入するのが当たり前という時代はもう間もなく訪れるでしょう。

そうなれば1日の発電量がどの位で、そのうちのどの位を昼間に消費して、余った電気を蓄電地にためて夜消費するという計算をするようになります。

当然kWhをベースに考えるようになるはずです。

蓄電池はOEMで柔軟に対応

中村: kW単価という言葉もkWh単価という言葉に変わっていくかもしれませんね。

話題にあがりましたので、蓄電池についてもお伺いしたいと思います。
御社は太陽光発電メーカーで蓄電池は製造していないので、蓄電池はOEMという形で販売していくことになりますよね。
その点は今後の不安材料ではありませんか。

東氏: OEMでの販売で全く問題ありません。
現在、当社は蓄電地は日本国内のメーカーと提携していますが、太陽光のように海外メーカーでコストも性能も良い蓄電地メーカーが参入してくることも考えられます。

そのときに提携するパートナーを柔軟に選択できるのはむしろ強みであると思います。

中村:確かに、太陽光発電業界における御社のように、優れたコストパフォーマンスの蓄電池メーカーが参入してくる可能性もありますね。

今日は非常に有意義な時間となりました。ありがとうございました。

東氏:ありがとうございました。
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