東日本大震災から2016年までの太陽光発電の変遷をふりかえる
東北で地震が発生し、津波も観測
2016年11月22日、福島県沖を震源地とする最大震度5弱、マグニチュード7.4の大きな地震が発生しました。
この地震の影響で、宮城県仙台港では1メートル40センチ、福島県相馬港では90センチの津波が観測されました。
朝、いつものようにテレビをつけると、
「つなみ!にげて!」
「津波!避難!」
「すぐにげて!」
といった、もの恐ろしいテロップが、どのチャンネルでもデカデカと表示されていました。
テレビコマーシャル中にも津波情報が表示されたままだったのが、一層、通常時とは違うことを感じさせ、恐ろしく感じました。
沿岸部には砂浜や防潮堤があるため、そのまま津波が入ってくるわけではありませんが、万一、それらを乗り越えて津波が押し寄せてきた場合、50センチの津波でも立っていられる人がいないほどの強さになるそうです。
今回の地震と津波で、2011年の東日本大震災を思い出した方も多いのではないでしょうか。
これを機に、東日本大震災以降の太陽光発電の推移を振り返ってみたいと思います。
計画停電が普及拡大の引き金に
東日本大震災後は計画停電が行われたこともあり、自家発電設備としての太陽光発電に関心が集まりました。
太陽光発電のご相談窓口であるソーラーパートナーズにも、太陽光発電の問い合わせが殺到しました。
ただ、当時のご相談は非常時に備えたいという方が多く、太陽光発電だけでは電気をためておくことができないことや、夜は発電しないことをお伝えすると、がっかりして導入を諦める方が大半でした。
東日本大震災での原発事故をきっかけとして、再生可能エネルギーの普及を推進する固定価格買取制度が始まりました。
ここから、「太陽光バブル」ともいえるブームが発生し、太陽光発電の普及が一気に進みました。
固定価格買取制度がスタート
福島県での原発事故を受けて、再生可能エネルギーの普及を進めようという機運が一気に高まりました。
しかし、当時の再生可能エネルギーはまだまだ発電コストが高かったこともあり、普及が進んでいない状況でした。
そこで、再生可能エネルギーで発電した電気を高い価格で買い取る「固定価格買取制度」が始まりました。
固定価格買取制度の威力は凄まじく、「これだけ高い価格で電気を買い取ってくれるなら、太陽光発電を始めてみよう!」と考える人が殺到しました。
それまで、太陽光発電といえば、住宅の屋根の上に設置するタイプが主流でしたが、固定価格買取制度が始まったことで、土地にそのまま設置する野立てタイプの太陽光発電所が一気に増えました。
最近では、日本中どこに行っても、太陽光発電所を目にするようになりましたね。
太陽光発電所が増えすぎて問題も
「太陽光バブル」ともいえるブームになったことで太陽光発電の普及が進む一方、さまざまな問題も浮き彫りになってきました。
新しい太陽光の受け入れを拒否した九電ショック
業界内で大きな衝撃だったのが、「九電ショック」です。
九電ショックとは、九州電力が「これ以上の太陽光発電所を電力網につなぐのは無理です!」と宣言したことです。
2014年9月のことでした。
九州は日照条件も良く、安い土地もたくさんあったことから、太陽光発電所の建設計画が殺到した地域でした。
太陽光発電は天気が良いとたくさん発電しますが、曇りや雨だと発電量が一気に落ちてしまいます。
そういった不安定な発電所が増えすぎると、電気の安定供給を続けることが難しいと、九州電力が音を上げたのです。
九電ショックを皮切りに、太陽光発電の普及に一気にブレーキがかかりました。
いつまでも発電を開始しない『カラ認定』
また、高い価格で売電できる権利をおさえるだけおさえておいて、実際には発電を開始しない「カラ認定」も大量に発生しました。
権利をおさえておき、実際に太陽光発電所を作るのを数年先に延ばすことで、より安いコストで太陽光発電所を設置できるため、制度で想定している以上に儲かるのです。
しかも、その権利をブローカーが介在して転売することなども横行しました。
発電コストが高い再生可能エネルギーを支援するための固定価格買取制度を逆手にとって金儲けにつなげるこういった手法は、太陽光発電を見る世間の目を冷たくすることになりました。
反射光による光害問題
さらに、実際に稼働を開始した太陽光発電所が周辺住民に迷惑をかけることも出てきました。
例えば、「光害」です。
太陽光発電所の反射光が近隣住居に差し込み、普通の生活ができないくらい眩しくなったり、室温が高まったりすることが出てきました。
台風によるパネル飛散、そして景観問題
他にも、強度が不十分な架台のせいで、強風が吹いて太陽光パネルが飛散する事故も発生しました。
景観の美しい地域に突如太陽光発電所が建てられたことで、周辺住民から不満の声があがるケースも出てきています。
このように、固定価格買取制度によって太陽光発電の普及が進んだ一方、さまざまな問題も出てきました。
問題を解決するために買取制度が見直された
普及が進んだことで明らかになってきた問題を解決するために、固定価格買取制度が改正されることになりました。
2017年4月からは、新しい制度がスタートします。
制度改正によって大きく変わる点は、今までは「設備認定」だったのが、今後は「事業認定」になるということです。
これまでは設備そのものが適切であれば、国の認定が下りていました。
これからは、設備の適切さだけでなく、発電事業としての稼働計画が適切かどうかを審査して、認定が下りることになります。
これによって、「まともな」太陽光発電所以外は、稼働を続けられなくなるわけです。
太陽光の設置費用が低下し、売電以外の利用も増加
太陽光発電の普及がこの数年間で一気に進んだことで、価格も急激に安くなりました。
技術革新も進み、エネルギーを蓄えておく方法もいろいろ出てきています。
新築住宅では、ゼロエネルギー住宅が当たり前になっていきます。
今後は、固定価格買取制度で支援されるだけでなく、自家発電用としても十分機能し、価格的にも魅力のある製品として普及が進んでいくことになります。
自家発電としての太陽光発電が普及するということは、災害に強い住宅が増えてくるということにもなります。
「災害列島」ともいえるこの日本では、災害に強い住宅が増えることは、人々の暮らしを守るためにも、非常に意義があることだと思います。
まとめ
東日本大震災をきっかけに、太陽光発電の普及は一気に進みました。
急速な普及に伴い、さまざまな問題も出てきましたが、新しい制度でそういった問題を解決していくことができそうです。
再生可能エネルギー自体は世の中にとって非常に良いものだと思いますので、問題があっても一つひとつ解決していきながら、しっかりと普及を進めていきたいものです。
今回の地震発生から1週間ほどは、同じくらいの大きさの地震が発生する可能性が十分あるそうです。
ケガや被害が出ないように、ぜひ注意していただきたいと思います。
万一に備えて自宅に太陽光発電を設置しようかなとお考えの方は、ソーラーパートナーズまでお気軽にご相談ください。