改正FIT法による認定失効45.6万件は、再エネ普及の追い風

Fricker

設備認定失効件数45.6万件

2017年4月21日(金)、資源エネルギー庁は改正FIT法施行に伴う設備認定失効した件数等の発表を致しました。
認定失効数は45.6万件、容量にして2,766万kWでした。
想定していたよりも多い印象で、良かったと思っておりました。

認定失効見込み数

関連資料:【別紙】認定失効件数等 | 経済産業省

日本経済新聞に「再生エネの普及は難しい」という主旨の記事

ところが、この発表に対して2017年5月13日(土)の日本経済新聞に「太陽光発電、宴のあと 未稼働560万世帯分失効」との記事が出ました。

太陽光発電、宴のあと 未稼働560万世帯分失効 | 日本経済新聞

東日本大震災後に急拡大した太陽光発電が岐路に立っている。
高額で売電できる権利を保有するだけで、ビジネスを手掛けない事業者を排除する法改正が4月に施行。
合計2800万キロワットの発電計画が失効した。
一般家庭の約1割、560万世帯の消費電力分に相当する。
宴(うたげ)の終わりと、再生可能エネルギー普及の難しさが改めて浮き彫りになった。…

2017/5/13 太陽光発電、宴のあと 未稼働560万世帯分失効 | 日本経済新聞

記事の中身は、再生可能エネルギーの普及は難しい、このままだと再エネ普及は遠のくと書かれていました。

さすがにミスリードだと思いますので、今回の件について説明させて頂きます。

改正FIT法の施行は未稼働案件の認定失効が目的

そもそも、今回の改正FIT法の施行の最大の目的と言っても良いのが、未稼働案件の一掃でした。

高い売電価格で売る権利だけを確保して、設置工事を行わず未稼働のままにしてある案件が、昨年末の段階で5,511万kWもあります。
そのうち、太陽光発電(住宅用と産業用)は4,883万kWと9割近くを占めておりますので、ほぼ太陽光発電の話と思って頂いて良いと思います。

認定容量(万kW)
新規認定分
導入容量(万kW)
新規認定分
未稼働案件(万kW)
太陽光(住宅) 531 454 77
太陽光(産業用) 7,552 2,746 4,806
風力 308 64 244
中小水力 80 23 57
地熱 8 1 7
バイオマス 399 77 322
※内訳ごとに四捨五入している数値のため、合計とは必ずしも一致しない場合があります。

固定価格買取制度、情報公表用ウェブサイト 平成28年12月末時点の状況(平成29年4月28日更新)より | 経済産業省

このうちの2,766万kWが認定失効したという話ですので、たしかに小さな話ではありません。
しかし、これは決して否定的な話ではなく、再生可能エネルギーである太陽光発電の普及に取っては喜ばしいことなのです。

未稼働案件とはどのようなものか?

毎年の売電価格は、その年のパネル価格等を勘案して導入メリットが出るように計算され普及を促進するために決定されます。
そしてその年に多くの太陽光発電が導入された事により、健全な競争も相まって導入コストが下がり、次の年の売電価格を下げることができるという循環になっています。

しかし未稼働案件というのは、このサイクルから逸脱し、高い売電価格の権利だけを確保し、稼働時期の期限が無かった事に目をつけ、ひたすら下がっていく導入コストとの差額を狙っている案件になります。
このような抜け道を作ってしまった制度の穴がまずは指摘されるべきではありますが、その抜け道をふさいだというのが今回の改正FIT法の施行になります。

未稼働案件はなぜ悪いのか?

ではなぜ未稼働案件を減らしたいのかというと、未稼働案件は上記の通り、以前の高い売電価格(一番高くて10kW以上税抜き40円)を確保している案件になります。

売電価格の原資は、国民負担で再エネ賦課金として徴収しています。
高い売電価格の案件が増えれば、当然再エネ賦課金は増えます。
いかに再エネ賦課金の上昇を抑えながら、普及を促進していくかが再生可能エネルギーの普及の最大のポイントになります。

つまり今後のさらなる再生可能エネルギーの普及を進めていくためには、既に導入コストの下がった現段階の売電価格(10kW以上税抜き21円)での導入をして欲しい訳です。

2,766万kWも取り消して大丈夫なのか?

それでも今回失効した2,766万kWという数は、日経新聞の表現を借りれば560万世帯分とのことで確かに小さくありません。

しかし2015年6月に発表された2030年度のエネルギーミックス案で掲げられた太陽光発電の目標は全電源のうちの7%、容量にして6,400万kWです。

エネルギーミックスについてはこちらをご覧ください。

現在の導入量は3,697万kWですので、あと13年でほぼ倍増させるという計画です。
冒頭の通り、今回失効した2,766万kWを除いても、未稼働で認定済みの太陽光発電案件は2,117万kWも残っています。
(内訳が公表されていない上に全てが太陽光ではないので、実際はもっと多く残っています。)
現在の太陽光発電導入量については以下の記事をご覧ください。

もし、未稼働の2,117万kWの案件が全て稼働したとすれば、2030年までの目標である6,400万kW(64GW)まで残り586万kWしかありません。
現在、住宅用の太陽光発電だけでも毎年約85万kWずつ増加しています。

2024年に64GWは到達する
2030年まで毎年85万kW増加したときの推移

つまり2030年までの目標は、85%を占める産業用の太陽光発電が仮に今後0件になっても達成するのです。

まとめ

このように日経新聞の記事とは違い、実際は再生可能エネルギーの普及は順調すぎるほど順調に来ています。

そして2030年の目標は決して上限ではなく、それ以上に導入されていく事を抑制するものではありません。

エネルギー自給率の向上、全世界的な取り決めであるCO2の削減のためにも、太陽光発電が順調に普及していく事は至上命題です。

その為の憂いが今回の改正FIT法の施行によって取り払われようとしている事は非常に喜ばしいことであると思います。

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