【かんたん記事解説】固定価格買取制度を見直し、価格確定は「接続契約時」が有力|スマートジャパン2014年11月10日 月曜日

スマートジャパンの記事をわかりやすく解説
11月10日月曜日にアイティメディア株式会社が運営する電力関連の情報サイト、スマートジャパンに「固定価格買取制度を見直し、価格改定は「接続契約時」が有力」というタイトルの記事が出ました。
固定価格買取制度を見直し、価格確定は「接続契約時」が有力
さまざまな問題が噴出している固定価格買取制度の改善策として、政府は買取価格の確定時期を見直す。現在は発電事業者が電力会社に対して発電設備の接続を申し込んだ時点で買取価格が決まるが、2015年度からは実際に接続契約を締結した時点で価格を確定させる方法に変更する見通しだ。
固定価格買取制度を見直し、価格確定は「接続契約時」が有力|スマートジャパン
この記事を見て不安になられた方もいらっしゃると思いますので、なにに影響する話なのかを整理させていただきます。
今年度中に太陽光発電を契約する予定の方には全く影響のない話です
今回の記事の影響範囲を整理すると以下のようになります。
- 太陽光発電を今年度(平成26年度)中に設置する予定の方には全く影響はありません。10kW未満・10kW以上含め、影響ありません。
- 既に太陽光発電を設置された方にも全く影響ありません。
- 来年度(平成27年度)に太陽光発電を契約する方には影響する可能性があります。
つまり、今年度中に契約と売電申請を済ませておけば、今回の記事の内容の影響を受けることはありません。
売電申請というのは太陽光発電を設置して売電するために必要な「経済産業省への設備認定」「電力会社への接続申込み」などの手続きのことです。
記事にも「2015年度(平成27年度)からは~見通しだ」とあるように、来年度(平成27年度)以降の売電制度の在り方について、経済産業省で議論されています。
今回の記事はその内容を元に書かれたものです。
今回のような「来年度の売電制度が今年度に比べて大きく不利になる」という報道があればあるほど、今年度の制度に間に合うために駆け込みが膨大になるので今から戦々恐々としています。
元ネタは経済産業省の新エネルギー小委員会の資料
では、いったいどのような議論がなされたのか、わかりやすく解説致します。
この記事の元ネタは、11月5日に開かれた経済産業省の小委員会です。
正式名称はとてつもなく長くて、「経済産業省 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会」です。
この小委員会が11月5日に実施されており、その時に使用された資料も閲覧する事ができます。
総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会(第6回)‐配布資料
今回の小委員会で議論された内容のポイントは2つです。
- とにかく過剰な利益を得ようとする輩をなんとかしたい
- 今年度(2014年度)の話ではなく、来年度2015年度の話
ポイント1:とにかく過剰な利益を得ようとする輩をなんとかしたい
今回の小委員会の一番の論点は「接続申込だけ済ませて高い買取価格を確定した後に、いつまでも設置工事を行わず、システム価格の低下を待ってより高い収益を上げようとしている案件を何とかしなければならない」というものです。
その為に、現在は下の図の「接続申込」の時に買取価格が確定しているものを、その隣の「接続契約」時か一番右の「運転開始」時に買取価格が確定するように変更したらどうだろうかという案が出ているという話です。
引用:資料10 固定価格買取制度の運用に関する論点|資源エネルギー庁
- 接続申込:電力会社の書類を持ち込んで受理された日
- 運転開始:連系日のことで、実際に発電した電気を売電できるようになった日
- 接続契約:・・・わかりません。初めて聞きました。
接続契約と聞くと、何か契約書の取り交わしをする日があるかのように思えますがそのような行為は現在行われていません。
なにをもって接続契約なのか不明でしたので資源エネルギー庁に確認したところ、
「電力会社によって多少解釈が違うので、電力会社に聞いてくれ」
という回答でした。
ですので次は東京電力に聞いてみたところ、
「まだ国から何か打診があった訳ではないのでわからない」
という回答でした。
今年度の事ではなく来年度の制度をどうしようかと委員会内で話し合っているだけなのでそりゃそうかもしれません。
先ほどの回答に加えて東京電力の方は、
「ただ普通に考えたら連系の承認をした日になるだろうな」
と仰っておりました。
これは私の推測ですが、可能性があるとすれば、
「連系承認がなされた後に売電メーター代や負担金を支払った日」
かもしれません。
ポイント2:今年度(平成26年度)の話ではなく、来年度(平成27年度)から適用される話
もう一つポイントはこの小委員会で話し合われているのは、来年度(平成27年度)の制度をどうしようかというものですので今年度(平成26年度)は関係ありません。
今年度はあくまで3月末までに電力会社に接続申込をした段階で買取価格が確定します。
(今年度の買取価格は10kW以上であれば税抜32円、10kW未満であれば税込37円)
雑感:根本的な問題は運転開始日の期限が無いことでは?
問題の本質は、接続申込から運転開始までにかかる時間の制限が無い事です。
接続申込時から接続契約時に移したところで結局そこから運転開始日まで長くするだけです。
ここの対策をしない限り、相変わらず駆け込みは時期が前倒しになるだけで問題は解決しないと思います。
ですので代案として以下の対策を提案します。
- 手順1:まず連系承認がなされてから、売電メーター代や負担金の支払いをする期限を設定する
(この対策で、まだほとんど実際に動いていない案件が減らせます) - 手順2:次に支払から運転開始までの期間を決める
容量ごとにモデルケースを作り、それをもとに運転開始時までの期限を決めてしまうのです。
当然イレギュラーなものもあるかと思いますがそれらは一切認めなくて良いと思います。
(未確定な事が多いから期間が延びてしまう訳ですので諸々情報が確定してから接続申込をすればいいだけです)
抜本的な対策を行わない限り現状は変わらないですし、世論の納得を得るのは難しいと思います。
私は平成25年度の36円のものの、経済産業省への申請と中電への申請を完了しているものですが、
このところの円安と消費税上げによる物価高等で費用の調達もまだしておりませんが、今年、H26年9月に中電より、電気会社を通して連携費用の書類が届きました。
それによると連携費用が100万円で今年中にこの費用を支払うようなことが書いてあり、また、支払っても実際に連携工事にかかるのは器材の不足で1年後というようなことが書いてあります。
この場合連携費用100万円を払わないと36円の権利は消滅してしまうのでしょうか?
また、1年後となると、機材の借り入れをしても返済に充てる金が発電しないので工面できません。
事実上の太陽光を諦めよという宣告でしょうか?
本当に1年後でなければ器材がないなどという事象が発生するものでしょうか?
よろしくお願いします。
おっしゃるとおり、資金が工面できないのであれば、売電価格36円はあきらめる必要が有ります。
今回N様に電力会社側から出されている通知などが、まさに稼働に向けて案件を動かせるのどうかを精査しているものになります。
非常に厳しいことを申しますと、このような設置が滞っている案件の精査をして現状を把握したいという経済産業省の意図がありますので、ご理解いただくほかないと思います。
なんとか設置費用のための資金を工面し、1年後の発電開始まではなんとか設置費用の融資の支払をやりくりし、発電開始を待つか、売電価格36円をいったんあきらめ、設置費用のめどをつけてから再度申請するかのどちらかしかないと思います。
非常に心苦しいですが、なんとか資金面の折り合いをつけて、36円での設置が完了することをお祈りしております。
お世話になっております。
いつも情報を楽しみに読まさせていただいております。
次の記事で、良く分からなかったことがあります。
それは、次の部分です。
>今回の記事の影響範囲を整理すると以下のようになります。
* 太陽光発電を今年度(平成26年度)中に設置する予定の方には全く影響はありません。10kW未満・10kW以上含め、影響ありません。
* 既に太陽光発電を設置された方にも全く影響ありません。
* 来年度(平成27年度)に太陽光発電を契約する方には影響する可能性があります。
例えば、50KW以上の太陽光発電所で、H24(40円案件)、H25(36円案件)、H26(32円案件)が今までのFIT制度ではありますが、これら、既に認定と接続回答があり、本申込みや受給契約がない案件があったとします。
これらについても、受給契約時点となる可能性があるのでしょうか?
※50KW未満の発電所はいかがでしょうか?
それとも、H27年度案件から受給契約時点となるのでしょうか?
毎年、年度末に認定申し込みが多くなることも分かりますが、単に経産省の職員等が仕事をしたくないといえるような内容 でもありますし、H26年度からは180日ルールもあり、H25以前は聴聞等を開いて順次取り消していけばよいことであって、真面目に行っている市民発電所などは、大手企業が副業で行うわけでないので、調整や資金調達に時間がかかり、そういったところが馬鹿を見るような制度にはしたくないような気もします。
認定もしくは接続回答の遅い日から、工事着手の日までに1年間とし、その着手日等に工事日程、運用開始日を明記させ提出させて、もし、予定運用開始日までに運用開始できなかった場合は、半年間の猶予をあたえ、それでもできなかった場合は、工事着手していても運用開始日の買い取り価格にするなどにした方が、良いような気もします。
H24からH26まではプレミアム期間でしたが、H27からは申請件数も激減するでしょうから、現状維持の体制でも電気代での負担も少ないと予測できます。
経産省はこの辺をうまくコントロールしてくれればいいのですが。
以上、もし良ければ、分かりにくかったところについて
ご回答やご意見をお聞かせください。
よろしくお願いいたします。
複数ご質問をいただいていますので、それぞれ回答させていただきます。
1.既に認定と接続回答があり、本申込みや受給契約がない案件についても、受給契約時点となる可能性があるのでしょうか?
既に売電申請が完了しているものについては影響は受けません。
ただ、今後何らかの形で対応されていくと思います。
次の質問にも関わることですので、そちらで詳しくご説明いたします。
2.H26年度からは180日ルールもあり、H25以前は聴聞等を開いて順次取り消していけばよいことであって、真面目に行っている市民発電所など~(中略)~が馬鹿を見るような制度には
したくないような気もします。
現在の制度は抜け漏れがありますので、制度の整備は必要だと思います。
また、現状対応がすすんでいない50kW未満の案件や、今年度以前に売電申請が完了しているけれどもまだ設置が完了していない案件に関しても、180日ルールのような、設置に対して動かなければ設備認定の取り消しや売電申請の却下などが提示されていくと思います。
(実際、今回のメールを受け取った方から、そのような内容の提示を電力会社側から受けていることも聞いております。)
問題なのは、近々で設置できる土地と資金が無いにもかかわらず、設備認定や売電申請を行っている案件です。
なかなか厳しい状況ですが、この精査が完了しない限り、国も今後の方針を決めることができないので、今後、粛々と精査が進んでいくのではないかと思っています。
現在、融資の問題などでなかなか進まない案件をお持ちの方も資金などの折り合いがつき、設置が完了することをただただ祈るのみです。