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ソーラーパートナーズ独自の取組
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東芝の太陽光発電345Wを中心とした2016年秋の新ラインナップを徹底解説

TOSHIBA
監修者
中村雄介 ソーラーパートナーズ専務取締役

著書2冊、NHKをはじめメディア出演多数。

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東芝の2016年秋ラインナップを解説

ここ最近、原発関連の債務超過で報道に良く取り上げられる東芝ですが、太陽光発電では2016年秋に大々的なラインナップ刷新を行っています。

東芝は太陽光発電のPRに消極的なのであまり世間に知られていませんが、じつはかなり画期的なラインナップ刷新でした。

事業売却が続いている中、太陽光発電事業を継続するのかどうかがはっきりしていませんが、敢えてこのタイミングで現在展開されている商品群の解説をしてみたいと思います。

2016年秋の新商品の大きな変更点は3つ

住宅用太陽電池モジュールの新製品発売について
~上位機種の変換効率向上と低価格製品のラインアップ追加により幅広いニーズに対応~|東芝

当社は、太陽電池モジュールの新製品として「Sシリーズ」345Wモデル・253Wモデル、「Jシリーズ」240Wモデル、「GXシリーズ」255Wモデルの3シリーズ4製品を10月11日から順次販売します。従来からの高効率製品に加え低価格帯のモジュールのラインアップを拡充することにより、顧客ニーズの多様化に対応し、製品競争力を強化します。

住宅用太陽電池モジュールの新製品発売について 2016年9月16日(金) プレスリリース|東芝

プレスリリースの内容にも有りますが、東芝が2016年9月16日(金)に発表した2016年秋の新ラインナップは大きく以下の3つのポイントがあります。

  1. Sシリーズに大型パネル345Wが登場
  2. メーカー保証を10年から15年に延長
  3. 安価かつ高性能のJシリーズを新設

Sシリーズに大型パネル345Wが登場

まず1点目は、大型のパネル345Wの発表です。
これまで東芝250Wの太陽光パネルが保有していた世界No.1の変換効率20.1%を、345Wの発表によって世界No.1の変換効率を21.2%に自ら大幅に更新しました。

モデルメーカー
(型式)
変換効率出力横寸法縦寸法
2016年秋モデル 東芝(Sシリーズ大型)
TOSHIBA

(SPR-X21-345)
21.2% 345W 1,559mm 1,046mm
東芝(Sシリーズ標準)
TOSHIBA

(SPR-253NX-WHT-J)
20.2% 253W 1,559mm 798mm
旧モデル 東芝(Sシリーズ標準)
TOSHIBA

(SPR-250NX-WHT-J)
20.1% 250W 1,559mm 798mm

東芝はパナソニックのようなハーフパネルを持っていないため、屋根面積に余裕があってもギリギリまでは設置できませんでした。

東芝345Wと253Wの太陽光パネルの組み合わせ Sシリーズ(345W・253W) | TOSHIBA

今回の大型パネル345Wは、旧モデルから出力が少し上がった253Wパネルと組み合わせての設置が可能で、設置面をより効果的に広げることができるようになりました。

ちなみに東芝のパネルは米国サンパワー社から商品提供を受けています。
つまり作っているのは東芝ではなくサンパワー社です。

メーカー保証を10年から15年に延長

TOSHIBAの保証 SシリーズとJシリーズの保証 | TOSHIBA

2点目は、メーカー無料保証の期間をパネルは25年、その他機器15年に延ばしたことです。
それまではパネル、その他機器ともに10年保証でした。
追加の有償でパネル20年、その他機器15年に延長する「パワフル保証」というものはありましたが、これまたパナソニックが無償でのパネル25年、その他機器15年保証を始めていたため、価格だけではなく保証面でも水をあけられておりました。

有償ではなく無償で、さらに期間を延ばしたことにより、東芝はパナソニックとの保証面の差を無くしたのです。

安価かつ高性能のJシリーズを新設

TOSHIBAのJシリーズ Jシリーズ(240W) | TOSHIBA

最後の3点目は安価かつ高性能のJシリーズの新設です。

東芝はもともと、海外メーカ―の格安パネルに対抗するためにMXシリーズという低価格モデルを、ハイエンドモデルのSシリーズとは別に持っていました。
今回のJシリーズはMXシリーズと全く同寸法かつ価格水準で、出力を240Wに引き上げてきたのです。

モデルメーカー
(型式)
変換効率出力横寸法縦寸法
2016年秋モデル 東芝(Jシリーズ)
TOSHIBA

(TJM-240PP-WHT-J)
18.5% 240W 1,318mm 983mm
旧モデル 東芝(MXシリーズ)
TOSHIBA

(TMX-205P-WHT-J)
15.8% 205W 1,318mm 983mm

MXシリーズは安価な多結晶パネルでしたが、Jシリーズは単結晶で低価格を実現しています。

これは相当なインパクトを持って市場に受け入れられるのではと思います。

世界No.1変換効率21.2%はどれ位すごいのか

東芝が保持する世界No.1変換効率21.2%ですが、これがどの位すごいものなのか正直ピンと来ないと思います。

そこで他メーカーが変換効率21.2%を達成するために出力をどこまで増やす必要があるのか計算してみました。

変換効率21.2%にするために必要なW数と改善率
メーカー
(型式)
変換効率 出力 横寸法 縦寸法 21.2%に
必要な出力
必要な
改善率
東芝(Sシリーズ大型)
TOSHIBA

(SPR-X21-345)
21.2% 345W 1,559mm 1,046mm
シャープ(ブラックソーラー)
SHARP

(NQ256AF)
19.6% 256W 1,318mm 990mm 276W
(20W不足)
+7.8%
パナソニック(HIT)
Panasonic

(VBHN250WJ01)
19.5% 250W 1,580mm 812mm 271W
(21W不足)
+8.4%
長州産業(Gシリーズ)
CIC

(CS-320G31)
19.5% 320W 1,634mm 1,003mm 347W
(27W不足)
+8.4%
カナディアンソーラー(QUINTECH)
Canadian Solar

(CS6V-245MS)
18.1% 245W 1,638mm 826mm 286W
(41W不足)
+16.7%
Qセルズ(Q.PLUSシリーズ)
Q.cells

(Q.PEAK-G4.1 300)
18.0% 300W 1,670mm 1,000mm 353W
(53W不足)
+17.6%
京セラ(ルーフレックス)
Kyocera

(KJ260P-MPTCG)
17.9% 260W 1,470mm 990mm 308W
(48W不足)
+18.4%
三菱電機(マルチルーフ)
MITSUBISHI

(PV-MA2450M)
17.2% 245W 1,657mm 858mm 301W
(56W不足)
+22.8%
ソーラーフロンティア(高出力タイプ)
SOLAR FRONTIER

(SF175-S)
13.8% 170W 1,257mm 977mm 260W
(110W不足)
+52.9%

こう比べてみると如何に変換効率21.2%というのが凄まじい数値なのかがわかります。
ここ1年、2年では追い付けないレベルであると思います。

ちなみに変換効率の計算方法と、変換効率が高いと何が良いのかはこちらの記事で解説しています。

345Wパネルの知られざる特徴

じつは変換効率がいくら高くても、太陽光発電の設置容量は屋根の寸法・形次第で変わってきます。

しかも、必ずしも変換効率が高い方が設置容量が大きくなるわけではないのが、太陽光発電の面白いところです。

ところで今回の345Wパネルには、あまり知られていない1直列、最小5枚からの設置可能という特徴があります。

正直、個人的には最大の特徴なのではないかと思っています。

TOSHIBAのSシリーズ 狭小住宅への設置の場合 | TOSHIBA

1直列、最小5枚から設置が可能だと何がすごいのかというと、東京や名古屋、大阪などの都市部では狭小住宅が多くなり、どうしても屋根が小さくなります。
さらに寄棟屋根だった場合、三角屋根部分にはパネルが1枚しか配置できないという事がかなりの確率で発生します。

太陽光発電は複数のパネルをつなぎ合わせないと電圧が足りず、設置できません。
そのため、狭小住宅の屋根には設置できないという事がよく発生しておりました。

しかし今回の345Wパネルは1直列最小5枚、つまり東西の屋根に各1枚+南の屋根3枚の5枚だけでも設置が可能となっています。

技術の進歩によって今まで設置できなかった屋根に設置できるようになったのは、素晴らしいことだと思います。
過去に検討した際に屋根が小さくて設置できなかった方も、ぜひもう一度検討してみていただきたいです。

東芝の市場参入からこれまでの動き

実は東芝は、2010年に市場参入した後発のメーカーです。
そして、米国サンパワー社のパネルを採用する事により、参入初期から最高品質を売りに市場シェアを拡大してきました。
ただアメリカのサンパワー社のパネルを使用している関係上、円安やドル高になると、為替の影響で価格が高騰してしまいます。

2013年から始まった円安傾向により仕入れ値が高くなってしまった関係で、東芝パネルは他のメーカーのパネル、特に高品質で第一の競合先であったパナソニックとの価格競争についていく事ができず、次第に市場シェアを失っていきました。

「もしかしたら、太陽光発電市場からの撤退もあるか…」と噂され始めた頃、突如新商品群の発表を行い全てを刷新して攻勢を強めたのが2016年秋のことでした。

しかし息を吹き返したかに見えたのも一瞬で、その1か月後から始まる東芝の債務超過報道によって、全てがふいになってしまったように思えます。

事業売却が続いている中、太陽光発電事業を継続するのか、はやくはっきりして頂きたいものです。

まとめ

ここまで見て頂いた通りで、そのパネルの性能において東芝は疑いの余地はありません。
ご相談を受けた方から、
「どのメーカーが一番性能が良いのか?」
と聞かれたら、価格のことはいったん置いておいてという前提を付け加えたうえで
「東芝です。」
とお答えしています。

東芝という会社自体がどうなってしまうかという不安はぬぐえない時期ですし、自社製造パネルではないので撤退も比較的容易であるとも思います。

だからこそ太陽光発電に関わる一員として応援の意味をこめて東芝の良さを改めてまとめてみました。
参考になれば幸いです。