2015年2月版!住宅用(10kW未満)太陽光発電の平成27年度(2015年度)の売電価格予想

平成26年度の売電価格の申し込み期限が終了
2015年1月30日までの設備認定申請期限が過ぎ、平成26年度の売電価格(10kW未満37円、10kW以上32円)で新規に導入できる時期が終わってしまいました。
そうなると気になるのは、来年度(平成27年度)の太陽光発電の売電価格がどうなるかということです。
そこで、平成27年度の売電価格が決まる前のこのタイミングで、売電価格を予想してみたいと思います。
特に今回は、住宅用(10kW未満)太陽光発電の売電価格を予想してみます。
2014年10月時点でソーラーパートナーズが予想した売電価格
実は、昨年(2014年)10月にも同じように売電価格を予想してコラムに書きました。
この時に予測した住宅用(10kW未満)の売電価格は、小数点を切り下げれば33円/kWh、切り上げれば34円/kWhというものでした。
このコラムを書いた2014年10月の時よりも、来年度に向けていろいろな情報がわかってきましたので、今わかっている情報をもとに、改めて売電価格を予想してみます。
日経の予想は37円、スマートジャパンの予想は36円
ちなみに、来年度の売電価格については、既にいくつかのメディアで見通しが示されています。
例えば、日本経済新聞2015年1月16日の記事によると、平成27年度の住宅用太陽光発電については、
10キロワット未満の家庭用太陽光発電は設備コストが下落していた。ただ、10キロワット以上に比べ導入の余地が大きいこともあり、価格を引き下げるかどうかは今後の検討課題になりそうだ
太陽光発電、買い取り20円台後半へ下げ 2段階で経産省調整|日本経済新聞(2015年1月16日)
と書いています。
つまり、現状維持の37円になる可能性もある表現となっています。
また、日本経済新聞と同じ2015年1月16日のスマートジャパンの記事によると、住宅用太陽光発電は、
発電設備の導入コストが低下していることを考慮して、2014年度の37円から2015年度は36円に引き下げる可能性が大きい
太陽光発電の買取価格は2015年度も下がる、非住宅用は26円が有力|スマートジャパン(2015年1月16日)
と、36円に引き下げるという明確な予想価格を書いています。
なぜ2014年1月16日に売電価格の記事が各メディアに載ったのか
実は、日本経済新聞とスマートジャパンが同じ日(2015年1月16日)に来年度(平成27年度)の売電価格について記事を出したのには理由があります。
売電価格は、資源エネルギー庁の中にある「調達価格等算定委員会」という国の委員会が出す意見をもとに決められます。
この調達価格等算定委員会が2015年1月15日に開催されました。
委員会で話された内容が2015年1月15日に公表されたのを受けて、その翌日に各社とも来年度の売電価格の記事を出したというわけです。
2015年1月15日に公表された重要な値
では、調達価格等算定委員会では実際にどのような話が出てきたのでしょうか。
1月15日の調達価格等算定委員会では、来年度の売電価格を決定する上で、とても重要な数字が明確に出されています。
それは、「住宅用(10kW未満)太陽光発電のシステム費用」です。
今回の議論の中で、平成26年10~12月期の新築設置のシステム費用は、「36.4万円/kW」であることが明示されました。
資料1 最近の再生可能エネルギー市場の動向について(p.11)|経済産業省資源エネルギー庁
また、売電価格を算定する上で考慮すべき諸々の前提は、これまで通りで良いのではないか、との意見も出されています。
2014年10月に予測した時はこの2014年10月~12月のシステム費用が当然ですが未発表だったので、推測して出していました。
平成27年度の売電価格は33~34円になりそう
住宅用太陽光発電の売電価格を算定するためには、先ほどの、
- 直近のシステム費用
の他にも、
- 稼働期間
- 買電単価
- 自家消費割合
など、さまざまな前提を置く必要があります。
過去、経済産業省が出しているいろいろな資料を確認してみると、国がどういった計算方法で売電価格を算定しているのかが大体見えてきます。
1月15日の調達価格等算定委員会で出てきた話を同じ計算方法にあてはめてみると、平成27年度の売電価格は33~34円になりました。
「住宅用の太陽光発電は今後もっと普及させてかなきゃだめだよね~」という話になれば34円や35円というのもありえると思いますし、「今の感じで進めていけばいいよね~」という話になれば33円で落ち着きそうです。
結果的には、ソーラーパートナーズで2014年10月に予想した売電価格と同じ数字になりました。
住宅用太陽光発電はもっと普及させるべき
住宅用太陽光発電は余剰電力買取制度になっています。
太陽光発電の電気はまず自宅で消費して、それでも余った電気を高く買い取ってもらえる制度です。
この制度はとてもよくできた制度だと思います。
この余剰電力買取制度のおかげで太陽光発電を設置した人は、少しでもたくさんの電気を余らせた方がお得になるので、「頑張って省エネしよう!」と思うようになるからです。
再生可能エネルギーを普及させていくことはとても大事ですが、やはりもっともっと省エネを進めて、必要なエネルギーそのものを減らすことがこれからの社会には必要だと思います。
その意味でも、省エネ効果が見込める住宅用太陽光発電はもっと普及させていくべきだと思います。
また、太陽光発電が増えすぎると、電気を使う量が少ないゴールデンウィークなどでは、使う電気の量を超えてしまうので、出力制御などの対策をしないといけないと最近言われるようになりました。
メガソーラーの多くは発電効率を考えて真南に向けて設置されているため、発電量のピークになる時間帯が同じになってしまうことも、この問題に拍車をかけています。
一方、住宅用太陽光発電は東向きや西向きの屋根もたくさんあるため、発電量のピークになる時間がずれてきます。
発電量のピークがずれることは、このような問題を防ぐことになります。
こういった観点からも、住宅用太陽光発電はもっと普及させていくべきだと思いますので、個人的には平成27年度の売電価格は35円や36円といった小幅の減少にとどめてくれると嬉しいなというのが正直な気持ちです。
まとめ
過去2年間は、次年度の売電価格は3月10日前後に調達価格等算定委員会の意見が発表されてきました。
これまでも調達価格等算定委員会が発表する意見を経済産業大臣がそのまま承認して売電価格が決まってきましたので、おそらく今年も調達価格等算定委員会の意見がそのまま通ると思います。
つまり、平成27年度の売電価格も3月10日前後には明確になると考えて良いと思います。
正式な売電価格が決まるまでは、今後も調達価格等算定委員会の議論に目が離せません。